「言葉の天才」と呼ばれた永六輔さん。その「言葉」によって、仕事や人生が激変した著名人は数知れない。永さんと長く親交があったさだまさしさんと孫・永 拓実さんが、「人生の今、この瞬間を有意義に生きるヒント」をまとめた文庫『永六輔 大遺言』から、今を生きるヒントになる言葉をご紹介します。

文/永拓実

「夜空を眺める」歌詞の意味

『見上げてごらん夜の星を』は夜間学校に通う学生のため、『上を向いて歩こう』は安保闘争に負けた自分たち若者を励ますための歌です。どちらも根底には、「弱い立場の人たちを励ます」というテーマがあります。

もう一つ、どちらも「夜空を眺める」歌詞であるという共通点があります。どうして祖父は人を励ます歌の舞台に、「夜空」を使ったのでしょうか。

亡くなってから、祖父が山梨放送の番組に出演した際のDVDを、家で見つけました。番組の中で祖父は「人間の生」というテーマで講演をしたのですが、会場としてプラネタリウムを使うのが、この講演の肝でした。講演前のインタビューで祖父は、プラネタリウムを会場とすることについて、こう語っています。

“人間の生というのは一瞬です。一瞬というのは、宇宙と比べたときに一瞬なんです。だから人間の生を考えるのに、プラネタリウムというのは最適な場所なんです”

夜空を見るということは、つまり自分と宇宙を比べること。月や星の大きさ、遠さ、歴史の長さ。そのスケールと自分の存在を比べると、嫌でもその存在の小ささ、命の短さを思い知らされる。

しかし、それは決して悲観的な意味ではありません。

“人間、死ぬとわかっているんですよ。歌わずにいられますか。叫ばずにいられますか”

これは祖父の著書の中の言葉です。自分の小ささ、命の短さを知ることは、自分の視野を埋め尽くしていた悩み苦しみの小ささを知り、俯瞰することでもある。そして、どうせ一瞬の命なら、気負わず思いっきり、歌ったり、叫んだり、やりたいことを存分に楽しもう。祖父が言いたかったのは、そういうことでした。

悩んでいるとき、迷いがあるときは、ただ夜空を眺めるだけで、悩みや苦しみの小ささに思い至り、大きく視野が開けることもあるのではないかと思います。

永六輔の今を生きる言葉

宇宙に比べれば人間の生というのは一瞬
死ぬとわかっているのだから、やりたいことをやろう

* * *

永六輔さんの7回忌の節目に、永さんの背中を追い続けてきたさだまさしさんと永拓実さんが『永六輔 大遺言』を刊行する。

『永六輔 大遺言』(さだまさし、永拓実 著)
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さだまさし
長崎県長崎市生まれ。1972年にフォークデュオ「グレープ」を結成し、1973年デビュー。1976年ソロデビュー。「雨やどり」「秋桜」「関白宣言」「北の国から」など数々の国民的ヒットを生み出す。2001年、小説『精霊流し』を発表。以降も『解夏』『眉山』『かすてぃら』『風に立つライオン』『ちゃんぽん食べたかっ!』などを執筆し、多くがベストセラーとなり、映像化されている。2015年、「風に立つライオン基金」を設立し、被災地支援事業などを行なう。

永拓実(えい・たくみ)
1996年、東京都生まれ。祖父・永六輔の影響で創作や執筆活動に興味を持つようになる。東京大学在学中に、亡き祖父の足跡を一年掛けて辿り、『大遺言』を執筆。現在はクリエイターエージェント会社に勤務し、小説やマンガの編集・制作を担当している。国内外を一人旅するなどして地域文化に触れ、2016年、インドでの異文化体験をまとめた作品がJTB交流文化賞最優秀賞を受賞。母は元フジテレビアナウンサーの永麻理。

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