残り2話となった『麒麟がくる』。 正義感あふれる光秀に各方面から「信長への不満」が集中。光秀はどのように決断に至るのか?
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編集者A(以下A):『麒麟がくる』も残り2話。本能寺の変が間近ということで、改めてNHKオンデマンドで第5話を見直してみました。
ライターI(以下I):第5話といえば、若き光秀(演・長谷川博己)が、鉄砲鍛冶の伊平次(演・玉置玲央)を探しに京に出た回ですね。
A:はい。実はその回は、光秀が将軍足利義輝(演・向井理)や細川藤孝(演・眞島秀和)に初めて会った回。その舞台は本能寺の門前でした。
I:ああ、そういえばそうだったかもしれません。今振り返ると感慨深いですね。
A:その時の本能寺の門前は、戦続きで疲弊した京の様子が描かれていました。天文17年(1548)ですから本能寺の変の34年前が描かれていたわけです。残り2話で描かれる本能寺がどういう様子になっているのか? おそらく時の流れを感じさせる描写になっているのではないかと密かに期待しています。
I:時の流れですか……。確かに信長(演・染谷将太)の上洛で京の復興は進んだのかもしれません。そうした描写ももちろん楽しみです。でも第5話では、本能寺の門前で将軍義輝に細川藤孝に加え、三淵藤英(演・谷原章介)が登場し、その流れで松永久秀(演・吉田鋼太郎)も女郎屋で光秀と伊平次に会うなど青春群像劇が繰り広げられました。あれから30年以上経ち、将軍義輝は暗殺され、三淵藤英も自害させられ、松永久秀も自害して果てました。
A:時の流れを振り返ることは、えてして残酷ですね。あの時本能寺の門前で相まみえた人々のそれぞれの人生は過酷なものとなりました。光秀もまた時の流れの中で背負わされた重荷を払いのけるために本能寺を攻める。いったいどのような思いで本能寺を攻めたのか?
I:涙なしでは見られませんね。以前も言いましたが、切ない本能寺になると思います。 私も万感の思いで残り2話を楽しみたいと思います。
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