クルマ好きの集まるカフェをオープン。スピット・ファイアへの縁が繋がる!
MGBを購入した頃、由湖さんはボートを趣味としており、頻繁に都内から神奈川県三浦市へと通っていました。その途中、国道沿いにある古蔵を縁あって購入。紆余曲折の末、古蔵をお友達とカフェに改装し、2018年の5月にオープンします。
カフェの営業中、紺色のスピット・ファイアに乗ったお客様が来店。長く憧れを抱く由湖さんとの話も弾みます。話の流れで「もしスピット・ファイアを降りる(手放す)時が来たら、是非、譲ってほしい」とお願いしたところ「自分が降りることはないが、譲り先を探している人がいる」と、思わぬ形でスピット・ファイアとの縁が繋がります。
「紹介してもらったオーナーさんは複数台のトライアンフを所有されている方でした。スピット・ファイアに乗る機会が少なくなり、動かさないのは可哀想と譲り先を探していたそうです。譲ってもらうには「しっかりとしたガレージで管理できる」などの条件がありました。これらをクリアすることで「(販売目的ではない)ちゃんと乗って維持する意思がある」と信用を得ることができ、譲ってもらえました」
探し始めてから10年を経て、ついにスピット・ファイアのオーナーとなれた由湖さん。初めて運転した時の感想は、「風を感じるクルマ」だったそうです。
「排気量が1200ccもないため、トルクのあるMGBよりも繊細な操作が求められます。顔や肌を撫でる風、場所や気候により変わる空気、自分が風になったような軽快な走行感。色々な意味で風を感じられるクルマです」
スピット・ファイアの扱いに慣れた頃、よりクラシックカーを楽しむため、由湖さんは『コッパ ディ 東京』や『クラシック ジャパン ラリー』といった、クラシックカーラリー競技に出場するようになります。
カフェでのクルマ好き、あるいはオートバイ好きなお客様との触れあい。そしてラリーをはじめとしたイベント活動と、カーライフを楽しむ由湖さん。今後は恩返しのためにも「クルマを楽しむための場」を作り、提供したいと語ります。
「クルマは人と人とを楽しく繋げるコミュニケーションツールだと思っています。これまで多くの人が助けてくれたおかげで、今の私があります。これからは多くの人にクルマを趣味にすることの楽しさを伝え、趣味を続けるためのお手伝いができたらと考えています」
目標への第一歩として、カフェを情報発信の拠点とし、色々なイベントの開催を企画しているそう。今後も由湖さんの元にはクルマ好きが集まり、カフェからは素敵で楽しい企画が飛び出すことでしょう。
取材・文/糸井賢一(いといけんいち)
ゲーム雑誌の編集者からライターに転向し、自動車やゴルフ、自然科学等、多岐に渡るジャンルで活動する。またティーン向けノベルや児童書の執筆も手がける。