■働き盛りに怖い糖尿病網膜症
本書では緑内障だけでなく、ほかの眼病についてもページが割かれている。その1つが、まだまだ働き盛りの人に脅威となる糖尿病網膜症だ。
糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併症の1つで、50~60代の失明原因の1位。現在、40代の10人に1人は糖尿病にかかっているので、他人事ではない。ただ、発病から失明まで何年もかかり、その間に手を打てるのが救いだ。
舘医師は、内科で糖尿病と診断されたら、年に1度の眼底検査をすすめている。検査の結果、網膜症が始まっていると判明したら、レーザー治療や抗血管内皮増殖因子薬の投与など適切な治療を受けることになる。
また、網膜症が発症していなくても、内科医の指導のもと血糖値をコントロールするのは基本中の基本。日常生活でも暴飲暴食や間食を控え、ウォーキングなどの運動に励むことが、将来視力を失わないための方策となる。
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中年期以降に発症する眼の病気は、ブルーベリーのサプリを飲んでどうこうなるものではないが、緑内障であっても治療しているのは2割にとどまるなど、まだまだ人々の意識・関心が低いのが現状だという。もし、目に関して何か気になることがあれば、本書を読まれ、眼科医を訪れるのが、後顧の憂いを防ぐ一助となるはずである。
【今日の健康に良い1冊】
『40代から高まる失明のリスク』
https://www.10000nen.com/books/978-4-86626-038-9/
(舘奈保子著、本体1,400円+税、1万年堂出版)
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。