緑内障は高齢になるとともに発症率が高くなり、中途失明の原因の1位です※。 また、かなり進行するまで自覚症状がなく、転倒や交通事故を起こす理由にもなりえます。 そのため、定期的に眼科専門医による検査を受け、早期発見・治療を行うことが重要です。
しかし、要介護者の方にとって自発的に検査を受けるということは難しいことでもあります。
全国のケアマネジャー9万人が登録するウェブサイト「ケアマネジメント・オンライン」( http://www.caremanagement.jp/ )、全国にリハビリ型デイサービス「レコードブック」( http://www.recordbook.jp/ )を展開するなど、 健康寿命の延伸に向け、様々なヘルスケアサービスを運営する株式会社インターネットインフィニティーは、ケアマネジャーをパネルにした要介護高齢者の医薬品独自調査サービス『CMNRメディカル』第7回調査(緑内障に関するアンケート)を実施しました。
※白神史雄:厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 網膜脈絡膜・視神経委縮症に関する調査研究 平成28年度 総括・分担研究報告書
要介護者のケアマネジャーに聞いた緑内障に関するアンケートの中から、眼科検査の現状を紹介します。
ケアマネジャーが要介護者の「目の健康状態」を確認する際に、どのようなことを聞いているか、質問しました。最も多くケアマネジャーが聞くのは既往症(67.8%)であり、ついで視力(63.7%)、メガネの使用(61.6%)の順番でした。しかし、定期的な目の検査については13.8%にとどまりました(n=870)。
担当している利用者又は家族に、眼科受診・往診を勧めたことがあるかを聞いたところ、勧めたことがあるケアマネジャーは73.4%でした(n=880)。要介護者に見え方の異常、目の充血、目のかゆみ、目のかわきのいずれかの症状が出た時、病院受診を勧めるかを聞きました。その結果、3つの知識(「緑内障はかなり進行するまで自覚症状はない」、「緑内障は失明の原因になる」、「緑内障は長く継続的な治療が必要」)を知っているケアマネジャーは、その3つの知識を知らないケアマネジャーよりも病院受診を必ず勧める傾向が見られました(知識あり:n=277;知識なし:n=73)。
要介護者が緑内障と診断されたきっかけは、見え方の異常があり眼科受診(49.9%)が最も多く、ついで、見え方の異常以外の症状(かわき、かゆみなど)があり眼科受診(11.0%)、定期健康診断(7.1%)の順番でした(n=663)。
中途失明の原因の1位は緑内障です。42.0%のケアマネジャーは中途失明の原因として最も多いものを緑内障に回答しました。また、33.0%のケアマネジャーが糖尿病網膜症と回答しました(n=880)。
本調査により、要支援・要介護の高齢者(以下、要介護者)が緑内障と診断されたきっかけは約半数(49.9%)が「見え方の異常があり眼科受診」でした。それ以外の眼科受診(「定期健康診断」「見え方の異常以外の症状があり眼科受診」「眼科以外からの紹介」)は21.3%でした。
このような状況において、在宅担当のケアマネジャーは緑内障の発見・治療に貢献できる可能性があります。本調査では、約半数のケアマネジャーが要介護者の「見え方の異常」「目の症状」を確認し、またケアマネジャーの73.4%は要介護者や家族に眼科受診・往診を勧めたことがあると回答しました。さらに、緑内障に関する知識を知っているケアマネジャーほど、眼科受診を「必ず勧める」率が高いことがわかりました。
このことから、ケアマネジャーに緑内障の知識を啓発することにより、要介護者へ早期に眼科受診を促すことができるようになると考えられます。
■調査概要
調査名:CMNRメディカル(第7回) 「緑内障のご利用者に関するアンケート」
期間:2019年3月27日~2019年4月10日
調査パネル:「ケアマネジメント・オンライン(http://www.caremanagement.jp/)」に登録する会員ケアマネジャー
調査サンプル数:880名(居宅介護支援事業所、 地域包括支援センター勤務のみ)
調査方法:WEBアンケート
「ケアマネジメント・オンライン」調べ:http://www.caremanagement.jp/