夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、プロレスラーの神取忍さんが執筆します。
文/神取忍(プロレスラー)
前回は血行をよくするおすすめの運動として「神取運動」をご紹介しましたが、今回はもっと手軽に血行をよくすることができる方法、お風呂の話です。
じつは私は無類のお風呂好き。車のトランクにはいつもお風呂セットを積んでいて、運転中に気になる銭湯を見つけると、時間に余裕があれば、さっとひと風呂入って気分転換していますよ。
女湯ののれんをくぐろうとする時に、たまに番台のおばちゃんに「違うよ~。そっちじゃないでしょ」なんて言われたり(笑)。そんなときは、あとから「ホントにごめんなさいね!」と、なんか必要以上に謝られるんだよね。逆に傷つくって(笑)。
よく行くのは、女子プロレス団体LLPW−X(私が代表取締役なんですよ)の道場がある大塚の銭湯「玉の湯」(東京都豊島区)です。
スーパー銭湯みたいな、大きくて新しい施設もいいけど、私は「昭和」の雰囲気が漂っている、昔ながらの銭湯が好きなんだよね。昔の銭湯って20円で使えるマッサージ機とか、扇風機のほかに団扇(うちわ)が置いてあったり、フルーツ牛乳の並んだ冷蔵庫があったりしたじゃん。
玉の湯さんはそんな風情が残っていて、まさに昭和な感じ。建物の入口が昔ながらの引き戸だったりするのもいいんだな。浴室の壁のタイルには大きな絵が描かれていて、湯船がすごく大きいんだ。泡がボコボコ出てくるバイブラバスとか、超音波風呂もあって、いかにも銭湯な感じでしょ。
お風呂に行く時間はまちまちだけど、営業開始のすぐ後に行くとお客さんがまだ少ないくていいんだよね。トレーニング後の汗を流すのにもちょうどいいので、ゆっくりひとりの時間を楽しんでますよ。
風呂に浸かりながら、興行やイベントのアイデアを考えたり、対処しなければいけない問題の答えを模索したり……、体のケアというよりも、心のケア的な要素が強いかもしれないね。でも、これが私にとっては、とても大事な時間で、なんかわからないけど、銭湯に浸かるといろいろとリセットできるんですよね。
もちろん温泉も大好きで、仕事で地方に行くときにはなるべく地元の温泉も楽しんでいます。
最近、九州に行くことが多いんだけど、博多での仕事で遠くまで行く時間がないときは駅前にある「八百治(やおじ)博多ホテル」に行っています。このホテルのお風呂は地下からわき出す天然温泉なんだよね。
時間に余裕があるときは、有名な温泉宿というより、地元の事情通に教えてもらって、穴場の温泉へ足を運んでいます。登山をする人ぐらいしか入らないような、山奥の淋しい温泉でもへっちゃら。むしろそういった秘境の温泉がいいんですよね。でも、混浴は無理! 入れません(笑)。
入浴剤が大好き! 今のおすすめは「重炭酸」
家でのお風呂もシャワーだけですますんじゃなくて、湯船にお湯を張り、毎回いろいろな入浴剤を入れて楽しんでいます。単純にお風呂好きだからというのもあるけれど、体のケアのためにも入浴剤は大切だと思うんだよね。
水素や酸素が入っているもの、香りで癒してくれるアロマ系、お肌がつるつるになるコラーゲン入りなどなど、入浴剤にはほんとうにいろんな種類があるんだけど、今、いちばんハマっているのが「重炭酸」。ハードなトレーニングをしたあとには必ずこれを使っています。
だって、この入浴剤を使うか使わないかで、翌日の体の疲れがかなり違う気がするんですよ(あくまで私の場合ね)。
私は同じ重炭酸の入浴剤でもアスリート用のものを使っていますが、入浴のポイントは一般用のものと同じで、39~40℃のぬるめのお湯に入浴剤を入れ、15分以上浸かるだけ。それだけで体中に血が巡って、入浴後は湯冷めなしでポカポカに! 心も体も「癒されたな~」という感じで床につくことができるんです。そして翌朝には快適な目覚めとともに、筋肉疲労が軽くなっているという具合(これもあくまで私の場合ね)。
そうそう、入浴は就寝の大体1時間前に終えておいてくださいね。体が温まりすぎていると、なかなか入眠できないから。
この重炭酸浴ですが、体の疲れをとる以外にも、じつは女性にはうれしい効果があるんだな。お湯に溶けた炭酸ガスが「重炭酸イオン」となって、洗浄効果を高めるのでお肌がすべすべに。私の肌もスベスベなのですよ!
みなさんもシャワーだけではなくゆっくり入浴する時間を作って、いろいろな入浴剤を試してみてはどうですか。気持ちがリセットされて体がラクになり、今までと違った毎日が送れると思いますよ!
文/神取忍(かんどり・しのぶ)
神奈川県生まれ。プロレスラー。1983年から全日本選抜柔道体重別選手権(66kg級)3連覇。1986年女子プロレスデビュー、現在は総合格闘技にも挑戦中。女子プロレス団体LLPW-X代表。