夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、プロレスラーの神取忍さんが執筆します。

文/神取忍(プロレスラー)

このコラム第6回でもお伝えしましたが、私は「体は、いい食べ物と運動で作るもの」と思っているので、最近までサプリメント(以下、サプリ)はあまり服用していませんでした。

そんな私が愛飲しているのが、皆さんご存じの「薬用養命酒」(以下、養命酒)。飲み始めたのは、大体5、6年ぐらい前からなんです。

いわゆる「漢方」を私は最初、ナメていたいうか、あんまり信じていなかったんだよね。私のまわりには漢方の専門家がいなかったし。

以前、なぜかいつもハブ酒を買ってきてくれる知り合いの社長さんがいて、なんとなく飲んでいたときがありました。とぐろを巻いたヘビが丸ごと瓶詰めになっているアレです。見た目のインパクトは絶大だけど、その効果も自分には、それなりにあったと思いますよ。

養命酒を飲み始めたのも、たしか誰かにもらったのがきっかけだったと思いますね。

なんとなく飲み続けていて、あるとき、瓶が空になったあと、一週間ぐらいバタバタと忙しくて、新しいのを買えずに飲めない日々が続いたんだよね。そしたら、なんだかわからないけど、体全体が重く、疲れが残っている感じがして……。

「トレーニングもこれまでと一緒だし、特別なことは何もしていない。なのに、なんでだろう?」

そう考えたとき、養命酒の効果に思い至ったわけです。以来、意外といいかもと思って、寝る前に毎晩飲んでいます。

ほんとうは1日3回20ミリリットルずつ飲むそうなのですが(このコラムをまとめていてようやく気がついた!)、私は寝る前の1回だけ。養命酒に付いている計量容器の7分目くらいが1回の適正量なんだけど、私はなみなみ1杯を飲んでるんです(笑)。

血行改善や新陳代謝を高める効果があるという『薬用養命酒』(養命酒製造)。本当は朝・昼・晩の食事の前と就寝前のうちから、都合のいい3回を選んで飲むのが正しい飲み方だそうです。

養命酒って、意外とアルコール度数が高くて、14度とワインと同じくらい。だから初めて飲んだときは、顔が真っ赤になっちゃって。アルコールがそんなに入っているって知らなかったから、なんか熱が出てきたのかな~と思ったぐらい。ほら、私ってお酒が弱いから(笑)。

寝る前に飲むとほんわかボーッとしてきて、そのまま寝ちゃうんだけど、それがとっても気持ちよくって、朝の目覚めもいい気がしています。

考えてみたら、養命酒は私が子どものころからあるし、私のまわりにいる人たちから「飲んでいると、風邪をひかない」なんて評判も聞いていたんだよね。昔から今まで変わらずに存在し続けているのには、やはり何かワケがあるんだな。

「侮れないぞ、漢方!」

そう思い始めてから、朝鮮人参酒もたまに飲んでいます。こちらは、晩ご飯のとき、小さなグラスに1杯ぐらい。毎晩じゃなくて、そのときの気分で飲む感じです。

飲むとやっぱり顔が真っ赤になるんだけど(笑)、食欲が増して体が元気になる気がします。最近は、ときどきですが薬膳料理を食べに行ったりもしています。

朝鮮人参は滋養強壮や血行改善などの効果があるそう。お酒として飲むだけでなく、我が家では鍋などの料理にも使っています。

最近はハードなトレーニングの前後にアミノ酸

養命酒以外に、私が唯一、継続して摂っているのが、アミノ酸です。飲むのは、ハードなトレーニングやウエイトトレーニングの前と後。

アミノ酸はヒトの体(筋肉や内臓など)を形成するタンパク質の元となる物質で、自然界には500種類ほどあるんだけど、私たちの体を作っているのは、たった20種類なんだって。そして、この20種類は9つの必須アミノ酸と、11の非必須アミノ酸の2種類に分けられる。

ところが、必須アミノ酸というのは、ヒトの体内で作り出すことができない。だから食事から摂取しなければならないわけです。

でも、食事だとアミノ酸が生成されるまで時間がかかるし、私のようなプロレスラーは一般の人以上に体を動かしてアミノ酸を消耗しているので、食事だけで十分に摂取することがなかなか難しい。そこで、サプリで補っているというわけ。

私が使っているのは、必須アミノ酸のうち、スポーツ時に重要とされるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類のこと)というアミノ酸と、体の中で最も多いアミノ酸であるグルタミン(グルタミン酸とは別物)を主成分にしたもの。

BACCは筋肉に含まれるタンパク質を作り出すことを促したり、筋肉中のタンパク質が分解されるのを抑えたりする効果があるし、運動時にはエネルギー源としても利用されているんだって。だから、これを摂取することで、筋肉疲労の回復や予防に役立つんだそうです。

グルタミンは体内でも合成される非必須アミノ酸なんだけど、運動したときや疲れがたまっているときは大量に消費されてしまうそうです。体にストックしてあるグルタミンが足りなくなると、体は筋肉を分解してグルタミンを補給するようになるので、激しいトレーニングをするアスリートは特にグルタミンの補給が必要になるというわけです。

いま使っているのはプロアスリートの要望に応えてペプチドの専門家が処方設計したアミノ酸含有サプリメント『APA(アミノペプチドアスリート)』(テクノサイエンス)というものです。日々のトレーニングにはスピーディーかつ最適な栄養補給ができるよう、アミノ酸とグルタミンペプチドを使用しています。

これを飲み続けていて、筋肉の状態がよくなるというか、筋肉がつきやすくなるような感じがしています。疲労回復にも効果があると思うんだよね。

健康な体を維持するには、バランスのよい食事と適度な運動がいちばん重要なんだけど、最近は、必要に応じて漢方やサプリを取り入れることで、体をいい状態に保つことができるんだって、思うようになったんだよね。

文/神取忍(かんどり・しのぶ)
神奈川県生まれ。プロレスラー。1983年から全日本選抜柔道体重別選手権(66kg級)3連覇。1986年女子プロレスデビュー、現在は総合格闘技にも挑戦中。女子プロレス団体LLPW-X代表。

 

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