夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、プロレスラーの神取忍さんが執筆します。
文/神取忍(プロレスラー)
身体を資本にして仕事をしている私のところへは、「体にいい」という情報がたくさん届きます。その中には科学的に裏付けられていそうものもあれば、古くから受け継がれてきた生活の知恵のようなものもあります。効果がありそうなものも、怪しいものもありますね。
私の考え方は、食べ物や飲料、サプリなど、口に入れるものは慎重に吟味してから試してみる。特にプロテインはものすごい種類があるので厳選しています。
逆に最新のケアマシンなどは、害にはならなさそうだと思ったら、ものは試しと、自分の体で実験しています(笑)。だって、本当に体にいいものなのか、効果が怪しい、なんちゃってなものなのかは、実際のところ使ってみないとわからないから。
今回は、私が自分で試して、最近、はまっているものをふたつご紹介します。それは、特製ドリンクとラドンガス吸入器です。
根菜ベースの特製ドリンクは胃の中で調合する!?
まずは2年前ぐらいから飲んでいる特製ドリンクです。
このドリンクは、私が活動している一般社団法人いじめ解決協議会の理事にもなってもらっている方から教えてもらったものです。ケガの回復が早くなるとか、骨が強くなるとか、免疫力が高まるということなので、試合が続くときやケガをしているときなどに集中して飲んでいます。
作るのは、「野菜スープ」と「玄米茶」(と私は呼んでいます)の2種類です。
ご紹介しておきながらなんなのですが……、材料をそろえるのも手間だし、時間もかかるので、最初に言っておきますけど、作るのには覚悟が必要ですよ(笑)。
〈野菜スープの材料〉
ニンジン1/2本、ゴボウ1/4本、干し椎茸1枚。ダイコン1/4本とダイコン1本に付いている葉っぱの1/3量。
※最近は葉っぱつきのダイコンを店頭で見ないので、探すのがたいへん!
〈野菜スープの作り方〉
1 材料すべてをできるだけ大きめにカットしたら鍋に入れ、野菜全体の3倍量の水とともに火にかけます。※塩などの調味料はいっさい入れません!
2 沸騰したあとは、コトコト弱火で1時間煮たら出来上がり。具材を取り除き、スープだけを冷蔵保存します。
〈玄米茶の材料〉
玄米1合
〈玄米茶の作り方〉
1 玄米を水で研ぎ、それをフライパンに入れて、キツネ色になるまで炒める。
2 炒めた玄米1合を、8合(1.5リットル弱)の熱湯に入れて、約5分間置いたら出来上がり。玄米を取り除き、液体のみ冷蔵保存します。
2種類のドリンクが完成したら、いよいよ試飲ですよ!
ここでもう1回お断り。このドリンクは味も飲み方も独特なので、いよいよ覚悟が必要です(笑)。
〈特製ドリンクの飲み方〉
1 最初に野菜スープを約750ミリリットル飲む。
使っている材料からご想像できると思いますが、このスープの風味は結構しんどい(笑)。冷たくしておき、一気に流し込むのがおすすめです。
2 野菜スープを飲んで30分以上経ったら玄米茶を約700ミリリットル飲む。
要するに体の中で、2種類の飲み物を時間差で合体させるわけです。ちなみに、野菜スープよりは、この玄米茶はおいしいと思いますよ……。
この特製ドリンクを飲むのは、一日のうちいつでもいいんだけど、最低1週間飲み続けないと効果が出ないといわれています。
最初に述べたように、私は2年前ぐらいから飲み始めたんだけど、実は自分でもその効果をリアルに実感できていないんだよね(笑)。でも、飲み始めてから、周囲の人に「元気そうだね」と言われるようになったんだ!
そう言われてみると、飲み始めて以来、爪や髪の伸び方が早くなったような……、そんな気もします(笑)。いつもは月に1週間ぐらい続けて飲んでいるんだけど、試合が続くときやケガをしたときなどは、もっと長い期間継続しています。
ここまで読んできて、飲みたい!と思う方は少ないような気がしますが(笑)、好奇心のある方は、試してみてください。
最近のヒットは道場をラドン温泉に変える!? 吸入器
次に、ラドンガス吸入器のご紹介です。
パーソナル空気清浄器や健康度測定器などを開発しているメーカーの社長さんで、以前から懇意にしている方がプレゼントしてくれたものです。
「(神取も)歳も重ねてるし、『RIZIN』(昨年末に開催された総合格闘技の大会のこと)もあるんだから、いつも以上に慎重にケアしていかないとダメだよ」って。
このラドンガス吸入器はさほど大きくなく、携帯も可能。ふだんは道場の椅子の上に置いてあって、ハードなトレーニングをしたあとに使っています。
使い方は超カンタン。ボタンを押してスイッチを入れたら、マスクを顔に当てて出てくる空気(ラドンガス入り)を吸入するだけ。
本当は30分間ぐらい吸入しなくちゃいけないらしいんだけど、私は飽きちゃうから(笑)、体の中に酸素が行きわたったように自分が感じたら終了。使用時間はだいたい15分ぐらいかな。
ラドンというと「放射線でしょ?」「使って大丈夫なの?」とか言われることが多いんだけど、放射線も低線量なら新陳代謝が活性化して、抗酸化機能や免疫機能が高まるらしい。ほら、ラドン温泉と同じ理屈ですよ。つまり、自宅で(私の場合は道場で)ラドン浴ができるというわけです。
このマシンから出てくる空気は、無味無臭。送風も穏やかなので、正直「本当にラドンガスが出ているんだろうか?」っていう感じなんだよね。効果もテキメンというほどではなく、寝入りが良くなったり、ハードなトレーニングの疲れが翌日に軽減されているような感じが、なんとなくしています。
そんな私の実感を察しているからかな。LLPW-Xのメンバーに、このマシンを「いつでも使ってね」って言ってるんだけど、誰も使ったことがないんだな。だから今のところ私専用のマシンと化しているんです(笑)。
特製ドリンクもラドンガス吸入器も、その効果をうまく説明できないけど、たぶんその効果は人それぞれだと思う。だけど、飽きっぽい私が使うのをやめないということは、何か私の体にとっていいことがあるんだとも思うんだ。
「病も気から」と言うように、なんとなくでも体にいいことをしているんだと思いながら続けることが、案外、重要だと思うんだよね。ということで、私はこれからも、ちょっと怪しいけど、ひょっとしたらいいかも、というケアグッズは、自分の体で実験し、効果検証していくんだろうな(笑)。なんといっても、この実験はけっこう、おもしろいんですよ!
文/神取忍(かんどり・しのぶ)
神奈川県生まれ。プロレスラー。1983年から全日本選抜柔道体重別選手権(66kg級)3連覇。1986年女子プロレスデビュー、現在は総合格闘技にも挑戦中。女子プロレス団体LLPW-X代表。