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旅行

突き抜けた極端な旅の実践(パラダイス山元の旅行コラム 第1回)


夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。木曜日は「旅行」をテーマに、パラダイス山元さんが執筆します。

文/パラダイス山元(ミュージシャン・エッセイスト)

工事中の高速道路にて。もう開通してしまったので、こんなことできません、念のため。撮影:小島健一

夏といえば、やっぱりハワイ!

夏が近づくたび、ハワイへ行きたい衝動にかられてしまう方というのは、これまでそういう生き方を実践してきたからに他なりません。文句なんか言われてなるものか!でしょう。

私も、ハワイ大好きです。もう20年近くご無沙汰ですが。

大好きな飛行機の客席1列目。撮影:琉球エアコミューターのCAさん

でも、そんな安直な旅を、この先何度も続ける人生でいいんでしょうか?

ハワイに行きたい方は、どうぞ行って来てください。止めたりはしません。

日常から、非日常の実践を自らに課してきたパラダイス人生。

これまで生きてきた55年より、これからの10年、20年をさらに極端に生きていきたいと思うようになりました。あと55年も生きられるわけないのです。人生は後半戦に突入しています。明日にも不慮の事故か何かで、天国へ逝ってしまうなどと想像しただけで、いてもたってもいられなくなります。行きたいところ、まだ山積みです。

この歳になって、家族に遠慮したり、周囲に気遣いした結果、頭に思い浮かんだことのひとつも実践できないなんて、そんなのもったいなさすぎます。

今まで送ってきた人生や、しがらみにとらわれることなく、自分が本当にしたかった旅を粛々と実践する時間に気がついた人は、きっと幸せになれます。

旅とは、ごくあたりまえの日常から非日常への突破口。

どこの旅行ガイドブックにも、ツアーパンフレットにも載っていない、自分だけしか価値がわからない旅の実践こそ、まだ見ぬ自分の発見につながるというもの。

デパートの屋上で盆栽を見に行くより、河原に石ころを拾いに行く旅

8尺玉が打ち上がる有名な花火大会より、鉱山の爆破を観に行く旅……

楽しすぎませんか?

高速道路上で、自撮りしてる場合……ですよ。撮影:パラダイス山元

SNS萌芽期に「大人の社会科見学」の世話人をしていた友人から、

「パラダイスさん、いい未開通区間があるんですけど、行ってみます?」

「えっ、どこの高速道路?」

「50年越しの工事がそろそろ終わる、あの……」

「東京外環自動車道 千葉工区!」

「ピンポーン」

一度開通してしまうと、永久に高速道路を歩くことなどできません。もう一度行きたくても二度と行けない旅。こういう機会を与えてくださる友人の存在というのは貴重です。普段から仲よくしておきたいものです。

たかだか片側2車線の道路だなんて、もう口にできません。このスケール感に圧倒されます。普段は歩くのが嫌いですが、ついルンルンで歩いてしまいます。撮影:小島健一

2018年6月2日、三郷南IC(埼玉県三郷市)から高谷JCT(千葉県市川市)まで開通した東京外環自動車道の工事現場は、普段なにげなく高速道路を走るドライバーの目線からは想像もできないスケールでした。京成線とのクロス部は、真上を走る鉄道の運行を続けながらの難工事であったことを示す箇所が至る所にありました。

足場だけでも、ものすごい量です。これが、現在はすべて撤去されてしまっているのですから……。撮影:小島健一

普段見られないのは工事現場だけではなく、トンネルを掘削するカッターや、重機なども。これは、ごく個人的なことですが、「働くクルマ」大好きな私としては、もう焦点をどこに合わせたらよいのかわからないほど。真近に迫るクレーンの吊り荷をほぼ真下から眺めるだけで、ごちそうです。

お役御免になったトンネルカッターの外周部分は、搬出しないでそのまま残してしまうとのこと。撮影:小島健一

高速道路で立ち止まったり、トンネルの中の静寂を味わえる期間限定の贅沢。しかも、路面も標識もなにもかもピッカピカ。開通して半年も経てば、もう排ガスで汚れてしまうのは当然のこと。

戦国の歴史ブーム、城ブームなどで、城郭跡などを、ガイドブック片手に散策する旅もいいでしょう。でも、お城の何千倍もの世紀の大工事をしているのに、開通するまで「早く工事終わらないかな~」「さっさと開通しないかな~」などと興味を示さないでいるのは、本当にもったいなさすぎると思います。

練馬、杉並、世田谷区間は、まだ工事中ですから、見学情報などは要チェックです。

高速道路上の自撮りがこんなに楽しいなんて……教えてあげたい♡ 撮影:小島健一

突き抜けた旅の極意は、その視点にあります。

日帰りで飛行機に乗るだけ乗って、観光も何もしないで、ただ帰ってくるという旅もアリでしょう。旅行ガイドブックでじっくり予習して、ただ復習するだけの旅より、何の予約もせず、駅や空港へ行ってから行き先を決める、ガイドブックを持たない旅のほうが、本来の旅らしさが味わえるともいえます。

文/パラダイス山元(ぱらだいすやまもと)
昭和37年、北海道生まれ。1年間に1024回の搭乗記録をもつ飛行機エッセイスト、カーデザイナー、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロース日本代表、招待制高級紳士餃子レストラン蔓餃苑のオーナー、東京パノラママンボボーイズで活躍するマンボミュージシャン。近著に「なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?」(ダイヤモンド・ビッグ社)、「読む餃子」「パラダイス山元の飛行機の乗り方」(ともに新潮文庫刊)など。

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