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健康

認知症の早期発見に有効!脳ドックの画像検査でわかること【名医に聞く健康の秘訣】

取材・文/わたなべあや

検診と言えば、胃がんや大腸がん検診、肺がん検診が代表的ですが、脳ドッグでも脳腫瘍の有無や血管の状態など、いろいろなことが分かるようになってきました。

そして今では、PETやMRIによる画像検査で、認知症の診断もできるようになっているのです。

今回は、知っておきたい脳ドッグでの画像検査について、近畿大学医学部放射線診断科の石井一成教授に伺いました。

画像検査でどんなことが分かるのか

一般的な脳ドッグでは、まずMRIで脳卒中など外科あるいは内科で対処できる病気があるかどうか鑑別します。その時に脳の形や萎縮の程度が分かるので、認知症に関して血管性認知症やそれ以外の認知症の状態についてもある程度診断ができるのです。

次に、脳血流SPECTやPETという画像検査を行うと、アルツハイマー病を含む変性性認知症の種類や進行の程度を知ることができるようになりました。

認知症のなかでも最も多いと考えられているアルツハイマー病の場合、最初はMCI(軽度認知障害)といって、軽いもの忘れ症状から始まります。そうした“もの忘れ症状”は、アミロイドβやタウ蛋白というタンパク質が脳の中にたまることによって起こるのですが、すぐに症状が現れるわけではありません。15~20年もかけて原因となる物質が蓄積され、発症するのです。

しかし、画像検査をすると、現在どの程度認知症の原因になる物質がたまってきているのか確認することができます。また、軽度認知障害やアルツハイマー病になると脳内のブドウ糖代謝や脳血流が落ちてくるのですが、それも画像で診断することが可能です。

PET検査で何が分かるのか

認知症の状態は、主にMRIと脳血流SPECTやPETという検査で診断します。PETにもいろいろな種類があり、アミロイドβの沈着状態を診る場合はアミロイドPETを、タウ蛋白沈着を診る場合はタウPETを、ブドウ糖代謝の状態を診る場合はFDG PETを、と使い分けます。それぞれ使用する薬剤が違うのです。

検査方法は、薬剤を静脈注射し、その後仰向けに寝た状態で、装置を使って頭部を撮影します。ごく少量の放射線被曝はありますが、副作用がなく痛みや不快感を伴いません。

ただしPET検査は費用が非常に高額で、対応できる施設が限られているため、基本的に保険適用が認められていません。また現時点ではアルツハイマー病の根治(根本的に治す)薬がないため、軽度認知障害や症状のない健常の人に対して脳ドックでできるPET検査は、ブドウ糖代謝をみるFDG-PETのみになります。

一方、脳血流SPECTという画像検査は、PETほど鮮明ではないものの、保険を適用して認知症の画像診断することができるので、全国的に普及しています。

アルツハイマー病の診断に関して、今後、画像診断と共に有望視されているのが血液検査です。島津製作所田中耕一記念質量分析研究所(田中耕一シニアフェロー[ノーベル化学賞受賞])と国立長寿医療研究センターは、近畿大学などと共同で、現在その有効性を確認しています。

将来、血液検査とPET検査とを組み合わせることで、アルツハイマー病の診断がより確実になり、早期発見、診断に役立てることができるようになると考えられているのです。

認知症の早期発見の意義

実は、アルツハイマー病を根治することは困難なのですが、早期発見することが重要だと考えられています。

少しでも早く発見することで、ご自身はもちろん、ご家族の病気への理解が深まり、協力を得やすくなります。そして、望む介護に合わせて将来に備えることもできるのです。

また、アルツハイマー病は根治することはできませんが、1~2年進行を遅らせる薬があるので、より早期、軽症のうちに服用を始めたほうが良いと考えられています。

*  *  *

今回は、画像検査と認知症についてお話ししましたが、脳ドックでは、PETに加えてMRI検査で血管の状態を調べ、動脈硬化や脳卒中の予防につなげることもできます。心臓の検査も併せて行い、循環器病全体の検診を受けられる施設もあります。

血管年齢が気になるサライ世代の方は、施設によって内容は異なりますが、脳ドックの受診について考えてみませんか。


談/石井一成
近畿大学医学部附属病院 早期認知症センター 教授、近畿大学医学部附属病院医学部 放射線医学教室放射線診断学部門 教授。
昭和61年 神戸大学医学部卒業。神戸大学医学部放射線医学教室に入局後、同大学附属病院、関連連病院を経て、平成5年兵庫県立高齢者脳機能研究センター画像研究科PET研究室長、平成11年ミュンヘン工科大学医学部核医学教室客員研究員、平成12年兵庫県立高齢者脳機能研究センター画像研究科長、平成14年兵庫県立姫路循環器病センター診療部放射線科科長、平成21年近畿大学医学部放射線医学教室放射線診断学部門准教授を経て、平成24年より現職。放射線医、大学教員として日常診療・教育を行いながら、専門領域として脳疾患、特に認知症の画像診断の研究に従事している。

取材・文/わたなべあや
1964年、大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。2015年からフリーランスライター。最新の医療情報からQOL(Quality of life)を高めるための予防医療情報まで幅広くお届けします。趣味と実益を兼ねて、お取り寄せ&手土産グルメも執筆。

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