お薬というと用途に合わせて何種類か同時に服用するのかと思っていましたが、今回処方していただいた漢方薬は一つだったのでした。通常何種類くらい飲まないといけないのでしょうか?

「漢方医学では『本治(ほんち)』と『標治(ひょうち)』という考え方があり、本治では病の根本から治療することを指し、標治では病の表面上の症状に合わせて治療することを指します。漢方医は病の根本を治す本治を主眼に漢方薬の処方をしますが、場合によっては症状に合わせて本治で用いる漢方薬1種類の他に、標治として漢方薬を1種類(もしくは複数)処方することがあります。
よって、本治1種類、場合によっては標治と合わせて2種類(以上)というのが基本的な漢方医学の考え方です。
また、一般的には処方する漢方薬の種類が少ないほうがよいとされ、熟達した漢方医ほどその患者にあったオーダーメイドの漢方薬1種類をきれいに処方しようと努力するようです。

だいたいどれぐらいで効果が出るものでしょうか?

「患者の症状や体質によって異なりますので、一概には言い切れません。処方した漢方薬が本当にその患者さんに合うかどうかは処方してみないとわからない部分があります。そのため、慢性疾患の場合でも初診では2週間程度の処方にとどめておき、様子を見ながら処方を変えたり処方量を増やしていくというケースも多いようです。

最初は恐る恐る飲んでいた漢方薬ですが、次第に慣れてきました。
次回は漢方薬と合わせて重要な治療の柱である養生についてお話します。

 

 

文/葉山茂一(はやま・しげかず)
漢方デスク株式会社代表取締役。漢方・薬膳の総合ポータルサイト「漢方デスク(http://www.kampodesk.com)」を企画・運営。

取材協力/渡辺賢治(わたなべ・けんじ)
慶應義塾大学環境情報学部教授医学部兼担教授。漢方デスクの漢方医学監修を務める。

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