東伊豆随一の漁港・稲取漁港。名物の金目鯛をはじめ、伊勢海老など今まさに旬を迎える魚介類が堪能できる地です。
稲取温泉の開湯は昭和になってからと新しいのですが、泉質は神経痛などに効用がある硫酸塩泉など。大海原の先に伊豆大島など伊豆七島を望むロケーションの宿の露天風呂は爽快感に溢れます。
温暖な気候と雄大な自然景観、そして豊富な食。伊豆が多くの観光客を魅了する所以でしょう。
稲取といえば、「雛のつるし飾り」も有名です。ひな祭りの際に、ひな壇の両脇に人形をつるして飾る風習で、江戸時代から伝わるといいます。
戦後の混乱期では一時、すたれかけていましたが、地元の婦人会などによって復活。子どもの健やかな成長を願う美しい風習として受け継がれています。
和裁細工の人形にはそれぞれ意味があり、「うさぎ」は神の遣い、「巾着」はお金に困らないように、「桃」は厄払いと延命長寿、「とうがらし」は虫よけ……。
温泉街にある『文化公園 雛の館』などを会場に、3月31日まで「雛のつるし飾りまつり」が開かれています。春を先取りする祭りを楽しんでみたいものです(写真は浜の湯の露天風呂)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。