
日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。
解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

「副腎疲労」も食事のバランスで解消
最近よく耳にするようになった「副腎疲労」についてふれておきましょう。
副腎は、左右の腎臓の上にあるとても小さな臓器で、名前と違って腎臓の働きとは直接関係していません。ただ、現代のようなストレス社会において、その役割に注目が集まっています。
2つある副腎は、それぞれ2層に分かれ、内側は「副腎髄質」、外側は「副腎皮質」と呼ばれます。
副腎髄質ではアドレナリンやノルアドレナリンが、副腎皮質ではコルチゾール、DHEA、アルドステロンというホルモンが分泌されます。
いずれも、適切に分泌されることで脳や体の働きを整え、日々を快調に過ごすために欠かせないホルモンです。
ところが、過度のストレスがかかると、「抗ストレスホルモン」と言われるコルチゾールが過剰に分泌され続け、副腎が疲れてしまうのです。その結果、ほかのホルモンの分泌バランスまでおかしくなり、心身の不調を来します。
うつ症状を訴えている人たちのなかには、この副腎疲労が原因となっているケースが少なからずあると思われます。
副腎疲労から身を守るには、なるべくストレスをうまく解消するほか、食事内容の精査が不可欠です。
副腎は、ビタミンCを大量に消費する臓器であり、その働きのためにはビタミンB6、パントテン酸、タンパク質が必要です。それには、野菜や肉、魚などをバランス良く摂らねばなりません。
ストレスが多く副腎疲労を起こしやすい現代人は、なおのこと食事バランスが大切なのです。
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世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』
現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)
