
日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。
解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

主食は最後。食べる順番を工夫する
糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質という三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質だけです。
タンパク質や脂質は、血糖値を上げません。
糖質の中でも、液体のものは消化の時間がかからないので、とくに急激に血糖値を上げてしまいます。ですから、糖質を摂るにしても、少しでも消化に時間がかかるように工夫すればいいわけです。
たとえば、ランチで注文した定食が、おかず、味噌汁、米飯という内容だったとしましょう。このとき、最初に米飯を食べると、早いタイミングで血糖値が上がります。
液体の糖質ほどではないにしても、多糖類の炭水化物がどんどんブドウ糖に分解され、血液中に吸収されるからです。ところが、最初におかずの肉や魚などを食べると、胃は、そのタンパク質をアミノ酸に、脂質を脂肪酸に分解する作業に入ります。
そこで、その後に米飯を食べれば、ブドウ糖がつくられるまでに時間がかかり、血糖値の上昇が緩やかになるわけです。
最終的には、おかず、味噌汁、米飯という、まったく同じ内容のものを食べたとしても、食べる順番によって、血糖値の変化に違いが出ます。
つまり、疲れるか疲れないか、太るか太らないか、体を壊すか壊さないかというところまで影響するわけです。
定食に、野菜の小鉢やサラダがついていたら、それを最初に食べるのもおすすめです。野菜の繊維質を消化するのに時間がかかるからです。
こうして、米飯やパンなどの主食を最後に回し、かつ、よく嚙む食べ方をしていると、だんだんと主食(糖質)を残すことができるようになります。
そうなれば、完全に糖質中毒から脱出したと考えていいでしょう。
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世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』
現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)
