今、世界中でブームとなっているグルテンフリーの食生活。
小麦などに含まれるタンパク質“グルテン”を一切とらないというこの食事法は「ストイック」「つらそう」「面倒臭そう」などマイナスなイメージを抱く人も多いかもしれません。
書籍『長生きしたけりゃパンは食べるな』の著者フォーブス弥生さんは8年ほど前から小麦抜きの生活を続けている、日本のグルテンフリーの第一人者。
フォーブスさんはグルテンフリーのプログラムを実践することで、早い人なら3日、多くの人は14日で体と心に劇的な変化が生まれるといいます。
本書の中から、グルテンフリーが健康に良い理由と、実践法をピックアップしてご紹介します。
■満腹なのに食べたくなるのはグリアジンのせい!
体に不調があるのに、病院での診断結果には異常がないという場合、原因は「小麦食品」にあるかもしれません。
小麦が原因で引き起こされる不調には、ストレスや疲労、不眠症、下痢、便秘、肌荒れ、生理痛など様々なものがあるといわれています。
それだけでなく認知症やアルツハイマー病の原因となる恐れもあるというから驚きです。
小麦のグルテンの中にはグリアジンというタンパク質が含まれています。この成分には食欲を増進させたり、血糖値を急上昇させる働きがあります。
また、満腹のはずなのに何故かパンや麺を食べてしまうというのはグリアジンの依存性の作用。そして最も怖いのは、私たちの健康の要である腸を傷つけてしまうということです。
■調味料や加工食品にもグルテンは含まれている
小麦粉が含まれているのはパンや麺だけではありません。以下のような加工食品にもグルテンが含まれているので要注意です。
・肉料理や加工肉食品(ハンバーグ、ハム、ソーセージなど)
・魚肉練り製品
・調味料(味噌、しょうゆ、マヨネーズ、ケチャップ、カレールーなど)
・加工チーズ
・シリアル、グラノーラ
・揚げ物
・ケーキ、クッキー、スナック菓子など
・ビール、ウイスキー、麦焼酎など
これらのものが食べられないとなると途方に暮れてしまいそうです。しかし、少しの注意と正しい知識があれば食生活を楽しむことは可能だといいます。
■まずは和食中心のメニューに変えるだけでOK
グルテンフリーの食生活にするために、まずは朝食をご飯に切り替えましょう。
和食にすると準備が面倒に感じる人もいるかもしれませんが、ご飯、味噌汁、漬物、納豆などのシンプルなメニューで十分だといいます。
育ち盛りの子どもや体力仕事の方がいる家庭は、焼き魚や目玉焼きなどタンパク質をプラスするとよいでしょう。
漬物がなければキュウリに味噌をつけるだけでもOK。ただし、ご飯は白米よりも玄米などの全粒穀物の方がよいでしょう。
■たった2週間小麦を食べないだけで変化がある
グルテンフリーの食生活は、まず2週間を目標にしてみてください。
「一生小麦を食べない」という大きな決断と捉えると躊躇してしまいますが、1食ごとに小麦を食べなくてもすむメニューを考えていくようにするのです。
それを積み重ね、2週間後に自分の体調や心の状態を観察してみてください。
「体重が減る」「肩こりがなくなる」「むくみが解消される」「疲労感が和らぐ」などの変化を感じられるでしょう。
また、グルテンの依存性には個人差があり、2週間後にはパンや麺を食べたくないと思うようになる人もいれば、1~2ヶ月禁断症状が続く人もいます。
しかし、これは禁煙のときと同じような状態。
禁断症状がなくなれば「パンを食べたい」とは思わなくなるのです。禁断症状が出ているうちは頑張って小麦粉食品を口にしないようにしてみてください。
またグルテンフリーの食生活に慣れた後、うっかり小麦食品を食べると胃もたれや疲労感を感じやすくなる人も多いはず。
そういう人はグルテンフリーを継続することでよりパフォーマンスを向上させることができるはずです。
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著者は「何歳であっても体は生まれ変わることができる」といいます。本書にはグルテンフリーを実践するためのポイントや、ズボラな人でもできるコツなどが具体的に書かれています。
日々の不調を感じている人は、まず2週間を目標に試してみてはいかがでしょうか。
【参考図書】
『長生きしたけりゃパンは食べるな』
(フォーブス弥生・著、本体800円+税、SBクリエイティブ)
文/平野鞠