精神科医の和田秀樹さん(63歳)の新刊『シン・老人力』が話題を集めています。和田医師は停滞するニッポンを救うのは、高齢者の新たな力だと説きます。発売を記念して行なわれた「世界最高齢プログラマー」の若宮正子さん(88歳)との対談の一部を、全7回でお届けします。第3回は、我慢や禁欲を続けることの危険性などについて語り合います。

「世界最高齢プログラマー」の若宮正子さん(左)と精神科医の和田秀樹さん。

●対談を収録した動画は下記より視聴できます。

東大合格者の睡眠は8・5時間だった

若宮正子(以下、若宮) 私の周りに「健康オタク」みたいな人がいて、何でも健康に結びつけちゃうの。そういう人をたくさん知っているんですけど、健康のためなら死んでもいいなんて言ってね(笑)。

和田秀樹(以下、和田) ははは。でもね、実は健康のために死んでいるような人がたくさんいるんですよ。結局、健康のために何かを我慢したり、嫌なことばかりやったりしていると、ストレスがかかって免疫機能が落ちてしまう。我慢をすると、かえって病気になりやすいという側面もあるんです。

若宮 禁欲がすべての成功の鍵かと言えば、そうじゃないですよね。例えば、受験勉強でも夜12時を過ぎても、頭から水をかぶって勉強するなんて時代がありましたけど、おそらくそういう時の脳は活性化していないから寝た方がいいんですよ。

和田 その通りです。実はこれも「四当五落」という言葉が昔から受験業界にありまして、4時間睡眠だと受かるけど、5時間だと落ちるなんて言われていて。

若宮 なるほど。

和田 それで、子どもたちがかわいそうだって、ある東大の教授がですね、「四当五落」という言葉が流行った当時、東大に入った人の受験生時代の睡眠時間を書かしたら、なんと8・5時間だったんです。

若宮 すごいですね。

当時は高額だったパソコンを「面白そうだから」との理由で58歳の時に初めて購入した若宮正子さん。

男性は「赤い服」を着たほうがいい

和田 ですから、ちゃんと寝ているやつの方が受かっているわけなんです。「四当五落」を信じて4時間しか寝ていないやつは、みんな脳が働かないから落ちているということなんです。

若宮 おお、それは……。

和田 その意味でも、人間は実は楽をしている時の方が頭がよく働くっていうことをもっともっと学んだ方がいいし、この「我慢精神」が30年以上も全然(経済の)成長がない日本をつくってしまっている……。

若宮 それと、誰かに何かを言われるんじゃないかと、すごく気にしていますよね。

和田 確かに。

若宮 女性は制服でもないのに、(会社で)白か黒かベージュかグレーの服を着ている人が多くて、「会社で決まっているの?」と聞いたら、「そうじゃないけど、目立たないのがいい」なんて人がいて。

和田 そうなんでしょうね。僕は男性には「赤を着ろ」と進めているんです。赤色を見ると、男性ホルモンが増えるらしいんです。すると意欲が増して、人付き合いも良くなるんです。

●対談を収録した動画は下記より視聴できます。

●和田秀樹医師の新刊『シン老人力』の情報はこちらから。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09389117

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和田秀樹(わだ・ひでき)
精神科医。1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は川崎幸病院精神科顧問、ルネクリニック東京院院長などを務める。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。著書に『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』など多数。

 

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