シスターフッド……女性同士の連帯が叫ばれる昨今、実際の友情をテーマにライター・沢木文がインタビューからわかったリアルを紹介する連載。今回のテーマは「熟年離婚と片づけられない女」だ。

20年間以上同居した夫婦が別れる、いわゆる「熟年離婚」が増えている。2022年度『離婚に関する統計』(厚生労働省)を見ると、「20年以上同居した夫婦」の離婚の割合が上っていることがわかる。2020年の最新データでは、21.5%と、過去最多を更新。

20年目の結婚記念日は「陶器(磁器)婚式」と言われる。長年の結婚生活で育まれた夫婦の固い絆からそう呼ぶという。一方で、20年目に「陶器」は割れるという考え方もある。

茜さん(59歳・会社員)は、熟年離婚した友人・恭子さん(59歳)が、息子(20歳)を放置し、恋愛にのめり込んでいる様子に、困惑している。

【これまでの経緯は前編で】

常に男と一緒に暮らしている

離婚後の恭子さんは実家に戻り、スナックで仕事をしては男性と同棲し、解消すると実家に戻ることを繰り返していたという。

「あの当時って、女の子は仕事をしなくてもお嫁に行けば何とかなるという雰囲気があった。恭子は優しくてかわいいらしくて、割と尽くすタイプだから、常に男がいた。ただ、片づけられないでしょ。1年くらい同棲して、その家をゴミ屋敷みたいにして、愛想をつかされて、それで実家に戻るということを繰り返していた」

恭子さんには兄と妹がいる。この2人がきちんとしているので、実家の自室は散らからない。

「私と恭子のことは、家族はみんな諦めている。“しょうがないな”って“あんたは人間失格だ”って言われるのが当たり前。私も30歳で部下がついてからは、会社の机を片づけてくれていて、それまでは見かねた上司がやってくれたこともあった。家だと捨てられるんだけど、会社はそれがなくて。当時はペットボトルがなかったから、飲みかけて放置したカフェオレにカビが生えたときは、さすがに怒られたけど」

茜さんはそれでも抜群に仕事ができたので、一目を置かれた。それに、大企業の正社員なので、ミスをフォローしてくれる人はたくさんいた。

「最初に営業に配属されたときは、ホントに地獄だった。女の子は男性社員の補佐で、内勤だったんだけど、みんなに迷惑をかけた。そのときにある上司が“あなたは集中力がある。システム開発にいきなさい”と異動させてくれたんです。そこからずーっと開発で、営業に比べて天国でした」

茜さんは能力を認め、伸ばしてくれる人がいた。

「それから、ウチの会社も分社化されたり買収されたりいろいろあったんですが、おかげさまで楽しく暮らしています。ひとつ親不孝があるとすれば、孫を抱かせてあげなかったこと。私は一人っ子だから、産んであげればよかったんだけどね。でも、今では産まなくてよかったと思う。子供ってうまく育てばいいけれど、不幸の種でもあるじゃない」

【片づけられない女性が育児をしたらどうなるか……次のページに続きます】

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