文/印南敦史

『10人の医師と研究者の知見を集約「寿命が延びる」方法を1冊にまとめてみた』(坂本昌也、頴川 晋、北原雅樹、齋田良知、下村健寿、繁田雅弘、炭山和毅、鳥海弥寿雄、前島裕子、三澤健之 著、アスコム)の著者である国際医療福祉大学の坂本昌也氏は、氾濫する“健康情報”に振り回されている人の多さを実感しているのだという。

いまやインターネットを利用すれば、世界中からさまざまな健康情報が得られる時代。したがって専門知識を持たない人が情報におぼれ、不安に襲われてしまうようなことになってしまっているのである。

問題は、それらの健康情報のなかには、安易に取り入れないほうがいいものも少なくないこと。試すことで体調が悪化するケースもあるので、“体にいいから”となんでも試すことが必ずしもベストな選択とは限らないわけだ。

事実、これまで世間で常識とされてきたことや、ブームを巻き起こしたもののなかには、医療現場から見ると不思議に思うことも少なくなかったようだ。

つまり、そうした現状をなんとかしなければという思いが本書を生んだのだ。

本書では、科学的なエビデンスや、長年医師として最前線で多くの患者さんを診てきた知見から、本当に健康長寿につながる健康法とはなにか、について説明いたします。(本書「はじめに」より)

しかも注目すべきは、こうした思いに賛同した9人の医師や研究者が関わっている点。著者を含む全10人の知見を凝縮し、「健康長寿」を長生きと定義したうえで、単に寿命を伸ばす方法ではなく、「できるだけ長く人生を楽しめる体」でいるための方法をまとめているのである。

大きく「食事」「運動」「睡眠」「生活習慣」「治療法」に分けられたメソッドのなかから、今回は「運動」をクローズアップし、順天堂大学医学部特任教授の齋田良知氏の解説を確認してみたい。

Q:筋トレは本当に体にいいですか?
A:筋トレは裏切りません。とくに腹筋がおすすめです。

人間には、自らの意志で増やそうと思って増やせる組織、鍛えたり強化したりできる組織はほとんどないのだという。たとえば薄毛に悩む人が髪の毛を増やそうとがんばっても思いどおりにいくわけではなく、虫歯の人が健康な歯に戻したいと思っても、それは不可能であるわけだ。

ただし、筋肉に関してはそうでもないようだ。きちんとトレーニングを行えば筋肉はつくということで、そこが他の組織との違いであるらしい。つまり、筋トレは裏切らないのである。

重要なのは弱い部分、強化したい部分を意識し、そこを鍛えるためのトレーニングを行うこと。足腰を鍛えようと思っている人が、腕立て伏せをやったり、ダンベルを持ち上げたりしても意味がありません。その場合は、下肢に負荷のかかるトレーニングをこなすようにしてください。(本書52ページより)

なお筋トレというと、ジムでマシンを使うようなイメージを持たれるかもしれない。しかし家庭ででき、道具を使わなくとも充分に実践可能。テレビを観ながら10分間やるだけでも効果はあるというので、ぜひともトライしてみたいところではある。

その際、激しく体を動かさなくてもOKです。腹式呼吸や、体をかがめておへそをのぞき込み、お腹に少し力を入れる程度の運動をするだけでも、立派な腹筋のトレーニングになります。それなら、高齢の方でもできるでしょう。
腹筋は、日常生活で鍛えづらい筋肉のひとつであり、加齢とともに衰えやすい部位でもあるので、とりわけ中高年のみなさんにはおすすめしたいです。(本書53ページより)

腹筋が衰えると骨盤の位置が変わってくるため、腰痛が出たり、股関節が詰まったりする。股関節が詰まると、それをかばおうとして膝や足首に連鎖的に痛みが走ることもある。だからこそ、腹筋を強化しておく必要があるわけだ。

Q:ぶら下がり健康法は本当に効果がありますか?
A:伸ばしづらいところを伸ばすと長生きできます。

ぶら下がり健康器には、「昭和の時代にブームとなった一過性のヒット商品」というようなイメージがあるかもしれない。だが「ぶら下がり健康法」自体はブームに関係なく、ちゃんとした効果が認められるのだという。

健康というと幅広い解釈が可能だが、おもに肩こりと腰痛に効くととらえるといいようだ。

肩こりや腰痛の解消法のひとつに体を伸ばすことが挙げられますが、自分で体を伸ばそうと思っても限界があるため、その範囲はおのずとどこかでセーブされることになってしまいます。一方、なにかにぶら下がれば、自分の意思では伸ばしづらい箇所や日ごろ伸ばしていない箇所を伸ばすことができるのです。(本書57ページより)

ひどい肩こりはストレスを生み、それが積み重なるとうつ病につながるリスクもある。そうなることを避け、そして健康で長く生きるためにも、体の不調はできる限り取り除くべき。

そこで、肩こりで悩む前にその予防対策として、ぶら下がり健康法などのストレッチに取り組むことが大切だというわけだ。

『10人の医師と研究者の知見を集約「寿命が延びる」方法を1冊にまとめてみた』
坂本昌也、頴川 晋、北原雅樹、齋田良知、下村健寿、繁田雅弘、炭山和毅、鳥海弥寿雄、前島裕子、三澤健之 著
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文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)などがある。新刊は『「書くのが苦手」な人のための文章術』( ‎PHP研究所)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

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