皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第37回のテーマは、「頭痛に効く漢方薬」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
頭痛のタイプは大きく3種類
日本人は頭痛持ちが多く、3人に1人が頭痛で悩んでいるというデータもあります。原因や症状は様々で、人によって痛みの強さも異なります。
頭痛は、大きくわけて、病気が原因でない頭痛と、病気が原因の頭痛があります。病気が原因でない頭痛は「一次性頭痛」、特定の病気が原因で引き起こされるものを「二次性頭痛」といいます。
一般的に頭痛というと、一次性頭痛のことを指します。二次性頭痛と違い、命には関わらない場合がほとんどですが、生活のうえでは大きなストレスとなっていることが多く、決して軽視はできません。
一次性頭痛はさらに「緊張型頭痛タイプ」「片頭痛タイプ」「群発頭痛タイプ」の3種類にわけられます。それぞれの頭痛にどんな特徴があるのかみていきましょう。
1.緊張型頭痛タイプ
一次性頭痛のなかで最も多いタイプで、後頭部やこめかみ、額のあたりに圧迫感があり、締め付けられるように感じます。頭重感があり、痛みがジワジワと長続きするのが特徴です。吐き気や嘔吐、体の痛みを感じることはありません。
原因は精神的なストレスのほか、長時間のデスクワークで頭や首や肩が緊張し、血行が悪くなって起きる場合があります。痛みの強さは軽度から中程度で、ほかの頭痛に比べると軽めです。
2.片頭痛タイプ
片頭痛タイプは、文字通り頭の片側がズキズキと痛む場合だけでなく、頭の両側が痛むタイプもあります。吐き気や嘔吐も伴い、光や音にも敏感になる傾向があります。痛みは強めで、長い場合だと72時間ほど持続する場合もあります。
片頭痛の原因は、水分代謝のバランスの乱れにあります。水分の巡りや排出に問題があり、とくに体の上部に停滞していると、頭痛やめまいなどの症状があらわれます。また、片頭痛は20~40代の女性に多くみられる頭痛でもあります。
片頭痛の予兆として、目の前に光が見えてチカチカする、目が回るといった現象が起きる場合があります。
3.群発頭痛タイプ
群発頭痛は、目の奥をえぐられるような・柱に頭をぶつけたくなるような激しい痛みが、片側の目の奥に起こるのが特徴です。涙、目の充血、鼻水などの症状を伴います。
多くの場合、年に1~2回、期間は1~2か月、毎日のように激しい頭痛が繰り返し起こります。とくに、男性に多いとされています。
頭痛に効く漢方薬
体のバランスを整える漢方薬なら、西洋薬とは違ったアプローチで頭痛を和らげ、改善を目指すことができます。頭痛のタイプごとにおすすめの漢方薬も異なるので、それぞれ詳しく解説します。
まず、どのタイプでも、頭痛には「血流の改善によって筋肉を緩め、周辺の神経の刺激を抑える」作用のある漢方薬が選ばれます。
また、緊張型頭痛には「筋肉内の老廃物を排出するもの」、片頭痛には「自律神経を整えて心身のストレスを軽減するもの」、群発頭痛には「血管の拡張による炎症を抑えるもの」など、症状にあわせて様々なアプローチをします。
1.緊張型頭痛に効く漢方薬
■葛根湯(かっこんとう)
痛みが長引くことが多い緊張型頭痛には、葛根湯がおすすめです。葛根湯はかぜ薬として有名ですが、発熱を伴わない慢性頭痛にも有効です。体を温め、血行を促進する効果で緊張型頭痛を和らげます。同時に首や背中の緊張をほぐし、肩こりも改善してくれます。
■釣藤散(ちょうとうさん)
肩こり、めまい、高血圧性疾患などを伴う慢性の頭痛に用いられます。血流を改善して自律神経を整えます。
2.片頭痛に効く漢方薬
片頭痛には、頭痛のファーストチョイスである呉茱萸湯の他、むくみや天候による影響がある場合は五苓散、動悸やめまいを伴う場合は苓桂朮甘湯がよく用いられます。
■呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
手足の冷えや吐き気を伴う片頭痛には、呉茱萸湯が効果的です。呉茱萸湯はおなかを温めることで冷えを改善し、「気」と「血(けつ)」の乱れも正常に戻します。苦いことで有名な漢方薬なので、オブラートに包んだり、ココアなどの飲料と混ぜると飲みやすくなります。
■桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
桂枝人参湯は片頭痛や緊張型頭痛に用いられます。体を温め胃腸の機能を高めます。胃腸の調子が悪く、冷えのある方の頭痛に使われる漢方薬です。
■五苓散(ごれいさん)
水分代謝を整える漢方薬で、吐き気を伴いむくみや湿度、天候の影響を受けるタイプの片頭痛に用いられます。
■苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
動悸やめまい、耳鳴りを伴う頭痛に用いられます。余分な水を排出して代謝を整え、水滞によると考えられる症状を改善します。
3.群発頭痛に効く漢方薬
群発頭痛に漢方薬を用いる場合は、呉茱萸湯や清上蠲痛湯を用いることがあります。加えて、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などの駆瘀血剤(くおけつざい)や釣藤散などを組み合わせ、個々に合わせて用いられます。
■清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)
水分代謝、頭部の血流を促します。三叉神経痛や目から来る頭痛、首から上の痛みにとくに用いられ、片頭痛や群発頭痛の場合に選ばれます。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方薬の処方は、体質や症状とのバランスを診たうえで決まります。漢方薬との相性が良くなければ、期待した効果が出なかったり、思わぬ副作用が出たりします。
漢方薬は西洋薬に比べ副作用が起きる確率は低いものの、副作用が絶対に起きないというわけではありません。
そこで重要になってくるのが、漢方に精通した医師や薬剤師による正しい診断と処方です。漢方には、体質を判断するための様々な”ものさし”があります。多角的な視点から体質を見極め、適切な薬を処方するという流れが重要です。
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つらい頭痛には漢方薬がおすすめ! 症状に合った漢方薬を選ぼう!
一般的な頭痛には主に「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3種類があり、それぞれ原因や痛み方、痛みを感じる時間は異なります。
漢方薬なら体質からの改善が目指せるので、専門家に相談して自分の体質とそれぞれの症状に合った漢方薬を選び、つらい頭痛に対処していきましょう。
さて、次回は「肩こりに効く漢方薬」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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