文/鈴木拓也
「頭がい骨のゆがみ」で起こる難聴
聴覚のトラブルの中でも高齢者に多い「難聴」。
75歳以上の半数が難聴に悩んでいるといわれ、認知症のハイリスク要因でもある。
「年だからしょうがない」と片付けられがちなこの症状、実は「頭がい骨のゆがみ」が原因なことがあるという。
そう言うのは、骨格矯正を専門とする治療家の清水ろっかんさん。
清水さんのもとには、難聴を訴えて多くの人が訪れる。そこで頭がい骨の矯正を施すと、耳の聞こえが明らかによくなったと喜びの声をいただくという。
頭がい骨は1つの硬い骨でなく、実は15種23個もの骨から成り立っている。骨同士が連結する部分には「縫合」と呼ばれる隙間があり、何らかの原因によりここが動いて、頭がい骨がゆがむ。そのゆがみは、頭痛や視力低下などさまざまな不調をひき起こす。
難聴も、その不調の1つだという。
清水さんは、著書『「聞こえ」がよくなる! 耳穴スイッチ』(世界文化社)で、次のように解説する。
顔を含む頭の骨は動きやすく、頭がい骨が左右どちらかにズレて骨が圧迫されると、ズレたほうの耳の奥の鼓膜や、鼓膜で増幅された振動を電気信号に変えて脳に伝える内耳の蝸牛も圧迫を受け、音が聞こえにくくなると考えられます。
頭がい骨の中でもポイントとなるのが、顔奥の中央に位置する「蝶形骨(ちょうけいこつ)」だ。正面から見ると蝶のような形をしているため、この名がついており、頭がい骨の多くのパーツをつないでいる重要な骨。これが左右に傾くなど異常が起きることで、難聴などの不定愁訴をもたらす。
蝶形骨のゆがみを改善する「耳穴スイッチ」
この蝶形骨について清水さんは、「耳と接するこめかみや目のくぼみ、鼻腔などに接しており、ここを正して頭がい骨全体のゆがみを一気に整える」という。
そのために清水さんが編み出したセルフケアが、「耳穴スイッチ」。指で耳穴からアプローチすることで、蝶形骨のゆがみを正し、本来の位置に戻す効果があるそうだ。
「耳穴スイッチ」には2種類あるが、その1種類を以下紹介する。さっそくやってみよう。
1. 両手の親指の腹を上向きにして耳の穴の奥まで入れ、上方向にゆっくりと押し上げる。このとき親指は、耳奥に垂直に立て、かつ耳の穴を押し広げるようなイメージで。その状態で10秒キープ。
2. 両手の人差し指の腹を前向きにして耳の穴の奥まで入れ、前方向にゆっくりと押し出す。その状態で10秒キープ。
3. 両手の人差し指の腹を下向きにして耳の穴の奥まで入れ、下方向に押し下げる。
4. そのままゆっくりと口を10回開け閉めする。
この3パターンの指を使ったセルフケアで、蝶形骨の左右・上下の傾きを直し、奥に入っていれば前方に戻すことができる。そうして、耳の聞こえにくさなどの不調が改善されていくという。
さまざまな不調に応じたセルフケアも
本書には、「耳穴スイッチ」のほかにも、頭がい骨のゆがみに起因する、目や鼻も含むさまざまな不調を改善するセルフケアが掲載されている。
その1つ、「後頭骨押し上げケア」は、頭がい骨後部の後頭骨をリフトアップすることで、首の緊張を解消し、緊張型頭痛をやわらげる効果がある。
1. 頭を少し前に倒し、両手を頭の後ろで組み、親指を乳様突起(首の付け根の両端にある)に当てる。
2. 親指に力を込めて、手と頭で押し合うイメージで押し上げる(あお向けで行うと、頭の重みで押し上げやすくなり、より効果的)。10秒キープを3回行う。
清水さんによれば、頭がい骨のゆがみを正すことで健康になるばかりか、「目が大きく開くようになった」「鼻が高くなった」など、外見も若く美しくなった体験者は少なくないという。難聴といった不調だけなく、容貌のアンチエイジングに興味のある方にもおすすめできるメソッドといえそうだ。
【今日の健康に良い1冊】
『「聞こえ」がよくなる! 耳穴スイッチ』
文/鈴木拓也 老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は神社仏閣・秘境巡りで、撮った映像をYouTube(Mystical Places in Japan)に掲載している。