とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落ち込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第18回のテーマは、「頭重感」です。あんしん漢方の監修医である木村好珠先生に教えてもらいました。
1.締め付けられるような重苦しい頭の痛みに耐えきれずつらい毎日…以前の明るい私を取り戻したい
カオリさん(仮名)47歳女性、化粧品会社広報の方からご質問をいただきました。
「助けてください。数年前から季節の変わり目や天候の変化をきっかけに、頭全体を強く締め付けられるような頭重感に悩まされるようになりました。長年広報業務に携わり、明るい笑顔でお客様に接してきたつもりですが、この症状に悩まされるようになってからは、あまりの辛さに顔が歪み、表情もうまく作れないほどになってしまいました。
そんなとき、同じ部署の後輩たちが『あの人っていつも機嫌悪そうだし話しかけづらい、笑顔に無理やり感があって怖すぎ!』などと私のことを話しているのを聞いてしまったんです。
私だって好きでこんな顔になったわけじゃない……。こんな症状が出る前は、取引先の方に笑顔を褒められたり、後輩にも慕われていたのに。そう思ったらつらくて情けなくて。それ以来、公私ともに人と接するのが怖くなってしまいました。 どうにかこの症状を改善して昔の私を取り戻したいです。この、顔が歪むほどの締めつけ感、頭の重さを改善する方法があれば教えてください」
ご質問ありがとうございます。
頭重感の症状は精神的ストレスや季節や天候にも左右されやすく、冷えやむくみなど様々な不快感と連動して起きがちです。ゆっくりと休んでいられない日の頭重感は特につらいですよね。
今回は更年期の頭重感の原因や改善方法についてお伝えします。
2.更年期に頻発する頭重感は、自律神経と連動するホルモンバランスの乱れが原因
自律神経やホルモンのバランスが乱れがちな更年期の女性の体はとてもデリケートな状態にあります。通常では気にならないような些細な天候の変化やストレス、睡眠不足などでも自律神経の乱れを敏感に感じ取ってしまうことでホルモンバランスが崩れ、不調の原因となってしまうことも多々あるのです。
また、東洋医学的な観点でいえば、頭重感や頭痛などの痛みは「気・血・水」のアンバランスや滞りによって発生すると考えられています。
例えば、長時間同じ姿勢で作業を続けることで血の巡りが滞ったり、体の冷えによるむくみ、ストレスや不安を抱え込む、といったことも頭重感や頭痛のきっかけになるといえるでしょう。
3.つらい頭重感をスッキリ解消する4つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.カフェインやアルコールは控えめに
体を冷やすことによる血流の悪化は、頭を圧迫するような痛みの原因になります。コーヒーなどに含まれるカフェインや、ビールや白ワインなどのアルコール類は体を冷やす作用があるので、適量以上に飲むのは控えましょう。ニューヨーカーのようにカフェ・オ・レ片手に出勤するのはかっこいいですが、マイポットに暖かい紅茶かほうじ茶を入れて携帯する方が血流UP効果が期待できます。
また、体を冷やすアルコールを摂取する機会もほどほどに。お酒の香りが恋しくなったら、発酵食品でもある甘酒がおすすめです。麹を発酵させて作られている甘酒には、血行を促進する効果のあるコウジ酸が含まれており、じんわりと体を芯から温めてくれます。
3-2.ゆったり入浴&ストレッチで血行改善!
パソコンに向き合って気づいたら数時間同じ姿勢のままで過ごしていた、なんていうことはありませんか? 忙しくとも30分〜1時間おきには簡単なストレッチをして手足や腰、肩や首筋を伸ばしたり、散歩がてらに少しだけ歩いてみるのも良いでしょう。休憩にスマホを触って同じ姿勢でいることも、頭痛の原因になるので避けましょう。日々の行動で血の巡りを良くすることが頭重感の改善にもつながります。スケジュールの合間にこまめに取り入れられる方法を実践してみてください。
そして、夜はぬるめのお湯にゆっくり浸かり、体の芯までじっくりと温めてリラックスを。疲れやストレスを翌日まで持ち越さないように、入浴タイムでしっかり解消してしまいましょう。
3-3.ツボ押しで痛みを和らげる
頭重感による頭の痛みや目の疲れにも効果的なツボ「太陽」と、ストレスや疲労による緊張をほぐす側頭部のツボ「頷厭(がんえん)」「懸顱(けんろ)」「懸釐(けんり)」をご紹介します。
太陽―目尻と眉尻を結ぶラインのくぼみにあるツボ。左右の親指をツボにあて、10秒〜30秒ほどゆっくり押します。持続して圧を加えることで目の疲れからくる頭重感や圧迫感を和らげてくれます。
頷厭(がんえん)・懸顱(けんろ)・懸釐(けんり)―太陽から指2本分上の位置にある頷厭(がんえん)から側頭部のこめかみに向かい3点連なっているのが、この3つのツボです。やさしく指を滑らせながら押すことで、ストレスや疲労からくる側頭部の圧迫感を和らげる効果が期待できます。
3-4.漢方薬で体質改善する!
「いったんよくなっても、またすぐに同じ症状をぶり返してしまう」「体質から根本改善したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方は、人間の体の営みに即した自然の摂理を利用した治療法です。自然の恵みである動植物や鉱物の有効成分を見出して、それを人間の心身の症状の改善に役立てるために、長い歴史を経て、実際に効果のあるさまざまな処方を確立してきました。そのため、一般的に、西洋薬よりも副作用は少ないと言われております。
そして漢方は、表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的に働きますので、根本的な解決につながります。ですので、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれます。
バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけですので、無理せず継続することが可能です。
頭重感に悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<頭重感に悩む女性におすすめの漢方薬>
血の巡りを改善し、全身に栄養を行き渡らせます。頭重感に加えて耳鳴りや動悸、のぼせのある方、虚弱体質で貧血気味の方にもおすすめです。
●加味逍遙散(かみしょうようさん)
気が滞りを解消し、エネルギーの流れをスムーズにすることで、精神疲労やストレスによる頭重感を和らげます。
●半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
体内に溜まった水を流し、胃腸の働きを強めることで気圧や天候の影響を受けづらい体質に改善します。
ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用がおきることもあります。自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもよいでしょう。
4.漢方プラスαの対症療法で徐々に体質改善を
つらい頭重感を改善するためには、気・血・水のバランスを整えることが最善の近道です。体質にあった漢方を取り入れたり、食生活・食習慣の見直しをすることで徐々に体質改善をしていきましょう。症状がつらい時には、効果的なツボ押しやストレッチなど、日常の中で取り入れられるリラクゼーションを実践し、出来るだけ疲れやストレスを溜め込まないように心がけてみてください。
<この記事を書いた人>
精神科医/漢方医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶應大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。
・木村好珠のオンライン診療:https://www.konnozakaclinic.com/service/fusion-kimura/
・木村好珠監修あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0018
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)