
見た目も涼しげな沖縄流「トマトジュース入りくず餅」。くず餅は、夏の甘味。ほどよい酸味とほのかな甘さは、トマトジュースが入っていると聞かないとわからない。
さて、もう1品、これからの暑い時期に最適な甘味「トマトジュース入りくず餅」の作り方も松本先生に教わりましたので紹介します。
沖縄の「くず餅」は葛粉ではなく、サツマイモのでんぷん「芋くず」を使うのが特徴です。さらに、松本先生はアレンジを加えて、現代人の味覚に合うくず餅のレシピを考案されました。
「最近の子どもたちは、くず餅のような伝統的なお菓子をあまり食べようとしません。なんとか食べてもらいたいと考えたのが、トマトジュースを使ったレシピです。じつは、お年寄りから昔はくず餅にトマトを入れた、と聞いていたのです。試行錯誤を繰り返しましたが、生のトマトではどうしてもうまくいきません。
そこで、トマトジュースを使うことを思いついて試したところ、とても美味しく仕上がりました。トマトジュースは、無塩のものを選んでください。ちなみに、オレンジジュースやグレープジュースでも作ってみましたが、合いませんでした。トマトジュースは味に深みがあって一番美味しいですね」(松本先生)
単純な甘さだけではなく、そこに酸味が加わることでより複雑な味わいが生まれるようです。トマトジュースは、きな粉との相性もぴったりです。
新しい味を探していたら、その答えはお年寄りの記憶の中にあった--。まさに“温故知新”の甘味といえるでしょう。
<材料>
・ザラメ/230g
・水/1と1/2カップ
・芋くず/140g
・無塩トマトジュース/2カップ
・塩/少々
・レモン汁/大さじ2
・きな粉/適量
<作り方>

手順① きな粉を茶こしに入れ、流し缶に均等に振り入れる。

手順② ザラメと水1/2カップを鍋に入れて煮溶かす。

手順③ 水1カップで溶かした芋くずを②の中に入れる。

手順④ さらに、トマトジュース、塩を入れて中火にかけ、焦がさないように木ベラを鍋底に当ててながら円を描くように力を入れて練り混ぜる。

手順⑤ ツヤと弾力が出てきたら、レモン汁を加えて練り混ぜる。

手順⑥ ①の流し缶に⑤を流し込み、上からきな粉をふって、氷水を入れたボウルの中で冷やし固める。

手順⑦ しっかり固まったら、まわりにきな粉をたっぷりまぶして完成。食べやすい大きさに切り分けて皿にもりつける。
最後に、くず餅作りについて松本先生からのアドバイスです。
「加える砂糖は、白糖では美味しく仕上がりません。黒糖や三温糖でもよいのですが、ザラメがお勧めです。練り混ぜるときの火加減は、強火に近い中火にしてくださいね。その方がコシが強くなって、美味しく仕上がります。焦げやすいので、テフロン加工した鍋を使う方がいいでしょう」
沖縄の伝統菓子を2品紹介しましたが、どちらも滋味豊かで、その味わいは今風のスイーツに引けを取りません。ぜひ、挑戦してみてください。

松本嘉代子(まつもと・かよこ) 松本料理学院学院長。沖縄の食文化、琉球料理の保存・普及・継承に向けての県の検討会委員を務める。新聞、テレビ、講演会などでも活躍。『沖縄の行事料理』『おきなわの味』など著書多数。 松本料理学院のサイトはこちら
取材・文/鳥居美砂
ライター・消費生活アドバイザー。『サライ』記者として25年以上、取材にあたる。12年余りにわたって東京〜沖縄を往来する暮らしを続け、2015年末本拠地を沖縄・那覇に移す。沖縄に関する著書に『沖縄時間 美ら島暮らしは、でーじ上等』(PHP研究所)がある。
