
定番おかずもいいけれど、少し背伸びしたものにも挑戦したい! そんなときに頼りにしたい一冊が、フレンチの巨匠・三國清三シェフ初めての家庭料理本となる『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』(主婦の友社)です。
三國シェフならではのアイデアが盛り込まれた家庭料理のレシピを惜しげもなく公開されています。どれも、毎日の食卓に並べても飽きないおかずばかりです。
今回は、『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』の中から、「ごちそうチキンピラフ」のレシピを紹介します。
ちなみに、三國シェフに、便利なキッチングッズがあれば教えてほしいと聞いてみたところ、「そんなものはありません(笑)。包丁にしろフライパンにしろ、価格ではなく、使いやすいと思ったものを長く使ううちに、さらに自分にフィットしていくものなんです」とのこと。愛着ある道具をしっかり手入れしながら使っていくことが大事なんですね。
「ごちそうチキンピラフ」レシピ公開

こんがりと焼いた手羽中を並べた、食べごたえのある洋風炊き込みごはんです。スープのうまみを吸収させた米が抜群。スキレットがなければ、フライパンで炒めてグラタン皿に移してもOKです。
[材料]2人分

[作り方]
【準備】オーブンを180度に予熱する。
1.手羽中は皮を下にして、食べやすいよう、骨から身をはがすようにナイフを入れる。

スキレット(直径20㎝)にオリーブオイルを入れて強めの中火で熱し、皮目から焼く。しっかり色づいたら返し、少し焼いて取り出す。

※焼くことで鶏肉のくさみをとり、香ばしさを引き出す。火は通っていなくてよい。
2.スキレットに材料Aを入れて塩少々を振り、中火で水分を引き出しながら、しんなりするまで木べらで炒める。
フライパンにオリーブオイルを熱し、強めの中火で両面を焼く。フライパンの側面に沿わせて形を整えながら、焼き色がついたら返し、片面4分ずつを目安にしてこんがりと焼き色をつける。
3.米を洗わずに加え、透き通るまで炒める。

材料Bを加え、強火で沸騰させる。火を止めてスープの味見をし、塩、こしょうで味をととのえる。
※味はやや薄めに。スキレットがなければここまでフライパンで調理し、グラタン皿などに移す。
4.1.を肉汁ごと戻し入れて並べ、バターを散らし、天板にのせてアルミホイルをかぶせる。

180度のオーブンで20分、水けがなくなるまで焼く。
※オーブンから出して5分蒸らし、アルミホイルをはずしてテーブルへ。
[ミクニ流Point]
鶏肉はしっかり焼いて香ばしさを出す。米は洗わずに炒め、うまみを吸収させる。
ミクニ流 家庭料理の極意
●いい加減でなく「よい加減」で作るべし。料理は真剣勝負です
冷蔵庫にある食材を適当に使ったり、時短のために冷凍食材やカットずみの野菜を使ったりすることには賛成です。でも料理自体を「いい加減」に作ってはいけません。材料をはかる、皮をむく、切る、指定の火力を守り、火にか
けたら火加減を見る、フライパンや鍋の中からは目を離さず、調理時間を守る、など常に集中して行いましょう。特に強火のときは、油断すると焦げるので要注意! レシピはなるべく頭に入れて、下ごしらえからでき上がるまで、一気呵成に行うべし。そうすると「よい加減」に仕上がります。
●塩は3回で決めるべし。1回で決めようとしないこと

塩加減は慣れた人でも難しいもの。プロは肉や魚の状態や産地、季節などで、こまかく調整して加えています。家庭では、まず本書のレシピの量どおりに加えてみましょう。「適量」「少々」「ひとつまみ」とある場合は、上の解説を参考に。気になるなら、まずは控えめに加え、足りないようなら少し足します。しかし、何度も足すと味はわからなくなってしまいます。
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ザ・シェフ三國の究極家庭おかず
著/三國清三
主婦の友社 1,980円(税込)
三國清三
フランス料理シェフ。1954年北海道増毛町生まれ。15歳で料理人を志し、札幌グランドホテル、帝国ホテルにて修業後、1974年駐スイス日本国大使館料理長に就任。その後、三つ星レストラン数店で修業を重ね帰国。1985年東京四ツ谷にオテル・ドゥ・ミクニ開店。2015年日本人料理人として初めて仏レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ受章。2022年オテル・ドゥ・ミクニ閉店。2025年9月四ツ谷に三國を再オープン。2025年黄綬褒章受章。食育活動やスローフードの普及活動にも力を注ぐ。
