なぜ信州蕎麦は美味しいのか？【片山虎之介の「蕎麦屋の歩き方」第10回】

日本蕎麦の最も基本的な打ち方とも言える、蕎麦打ちの技法が、戸隠には残されている。
このことは、とても重要である。蕎麦は、打ち方によって、食味が大きく変わる。「一本棒、丸延し」の打ち方は、他の方法とは大きく個性の異なる、蕎麦のおいしさを生み出すことができるのである。
戸隠を訪ね、ぜひ、その味を体験していただきたい。

1ページ目の写真は、戸隠の「鷹明亭 辻旅館」の手打ち蕎麦である。
この宿は、その昔、宿坊から始まった。戸隠の蕎麦の歴史は、宿坊との関係を抜きには語れないほどで、戸隠神社、宿坊、そして蕎麦産地としての優れた自然条件。これらがすべて揃ったところに、江戸で別格と評価された、戸隠蕎麦が生まれたのである。
それを今に伝えるのは、伝統の技法だ。
戸隠流蕎麦打ちの妙技は、昔の蕎麦の面影を、今に伝えてくれている。

鷹明亭辻旅館

住所：長野県長野市戸隠3360
電話番号：026-254-2337
URL：http://oumeitei.net

文・写真／片山虎之介
世界初の蕎麦専門のWebマガジン『蕎麦Web』（http://sobaweb.com/）編集長。蕎麦好きのカメラマンであり、ライター。伝統食文化研究家。著書に『真打ち登場! 霧下蕎麦』『正統の蕎麦屋』『不老長寿の ダッタン蕎麦』（小学館）、『ダッタン蕎麦百科』（柴田書店）、『蕎麦屋の常識・非常識』（朝日新聞出版）などがある。