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武夷岩茶を訪ねて(福澤朗の美味・料理コラム 第6回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。金曜日は「美味・料理」をテーマに、福澤朗さんが執筆します。

文・写真/福澤朗(フリーアナウンサー)

私の妻は紅茶や中国茶などに造詣が深く、日本紅茶協会のティーインストラクターの資格を持っているほどです。自宅では中国茶器で烏龍茶を淹れて飲んだりしています。

私がちょっと体調が悪いな、風邪を引いたかなと感じるときは、高級烏龍茶である武夷岩茶(ぶいがんちゃ)を淹れてくれるのですが、このお茶をいただくと体の内からポカポカと温まってきて体調がよくなるのです。少しの茶葉で5~6煎は味と香りを楽しめますし、とにかく冷房などで体調を崩しやすい暑い夏にはおすすめのお茶です。中国茶器を使わずとも、普通の急須で淹れても味わいはさほど変わりません。

私はそんな体験もあり、以前から武夷岩茶のパワーを感じていたところ、BS朝日の『人生を変える7日旅』という番組のロケ依頼がありました。タイトル通り、最も行きたい場所へ1週間旅をするという番組です。私は特技の卓球、中国茶、紹興酒というキーワードで“炎の旅”と題して、中国を巡ることにしました。

まず訪れたのが上海。卓球女子世界選手権の覇者だった曹燕華(そうえんか)が創設した「曹燕華卓球育成・訓練学校」で、子どもたちと対戦し、見事に惨敗。その英才教育の素晴らしさを体感しました。その後、本場の紹興市で紹興酒をたらふく飲み、いよいよ福建省の武夷山へ。

天遊峰での写真です。

武夷岩茶は、世界遺産に登録されている標高2000m級の岩山・武夷山の割れ目などに生えているお茶で、なかでも「大紅袍(だいこうほう)」という茶葉がもっとも貴重とされています。樹齢350年以上の茶樹からしか取れないということで、幻の岩茶といわれています。

番組のハイライトは武夷山に登って山頂の茶屋で武夷岩茶をいただくこと。登山道を登っていくと、お茶の木がごつごつした岩の割れ目から、岩場のミネラル分を吸い取り、それをエネルギーにして生長しているんです。肥沃な土ではなく、限られた環境でも栄養分を吸い取る植物の強い生命力に圧倒されました。

山頂でお茶を頂きました。

そして山頂で無事、濃厚でコクがある武夷岩茶を味わい、下山。山麓の村の中国茶器の店で、店で一番派手な茶器を旅の記念に購入しました。それが写真の茶器です。日本円で約5000円。赤と金色というなかなかの派手さで、高台の部分は取り外しができます。

この中国の旅は、卓球選手として成功するぞという子どもたちのエネルギー、紹興酒をお椀のような酒器で飲んでいる人々の騒々しさや大都市部のビルのけばけばしさ、そして武夷岩茶の生命力。中国のえげつないほどの雄々しさを強烈に感じました。

帰国して羽田空港から帰るタクシーの車窓からの眺めは、日本の街の調和のとれた地味さ。そのギャップに驚きました。そして、この茶器を眺める度に、中国の勢いを思い出し、ときに自分を奮い立たせています。

文・写真/福澤朗(フリーアナウンサー)
昭和38年、東京都生まれ。昭和63年、早稲田大学第一文学部を卒業し、同年、日本テレビ入社。在局中はアナウンサーとして、数々のヒット番組に出演。また「ジャストミート」「ファイヤー」等の流行語も生み出した。2005年7月、フリーアナウンサーに。趣味は、日本酒、鉄道、和菓子屋巡り。特技は卓球。

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