明治の初め、いち早く西欧の文化が伝わった上野には洋食店が次々に誕生、この地ならではの食文化を育んできた。そんな上野の美食を巡る。

下谷神社の目の前で堪能するモダンフレンチ

「メニューB」(4000円、要予約)より、手前左から神威豚香草パン粉焼き、メカジキのロースト、熊本野菜のサラダ、デザート。
ランチコースの最初に出される「アミューズ・ブーシュ」。この日は自家製パイにクリームチーズとハモンセラーノをあしらった。

稲荷町の下谷神社門前に佇むフレンチレストラン『キエチュード』。「心のやすらぎ」を意味するフランス語だ。『レストランひらまつ』や『エスキス』、パリの一流店でも経験を積んだ店主の荒木栄朗(あらき・ひでお)さん(44歳)が自身の店を開く際に目指したのは、「ドレスコードのない、気さくなフレンチ」だった。

肩ひじ張らず一流の味を

「料理をおいしく作るのはもちろんのこと、自ら接客をしてこそよい空間を作ることができる。フランスでの修業を通して、目指すものがわかりました。料理をする姿を見てもらうことも、お客様の楽しみのひとつになればと、あえてオープンキッチンにしました」

一流の味を、肩ひじ張らず楽しんでもらいたい、その思いは、店のしつらいや料理からも窺える。

予約なしで注文できるコースもあるが、せっかくなら、手の込んだ料理の数々が並ぶ要予約のコース「メニューB」を楽しみたい。この日は、荒木さんの故郷である熊本産の野菜をふんだんに盛り込んだサラダや、熊本名産の菊芋を使ったソースが味わい深いメカジキのロースト、濃厚な旨みのある北海道産神威豚の香草パン粉焼きなどが供された。

「来店されてお帰りになるまでに、いかに満足していただけるか。そこが私にとって最大の課題です」

荒木さんのもてなしに、心も豊かになるフレンチレストランだ。

デザートのナッツ風味の「クレームブリュレ、ラズベリーアイス」。ほろ苦いキャラメルと、甘酸っぱいラズベリーがよく合う。
カジュアルなコックコートに身を包んで料理する店主でシェフの荒木栄朗さん。熊本県出身。カウンター席の客との会話も弾む。

レストラン キエチュード

台東区東上野3-35-1鈴木ビル1階
電話:03・5826・8995
営業時間:12時〜15時(最終入店13時30分)、18時〜22時(最終入店19時30分)
定休日:水曜
交通:東京メトロ銀座線稲荷町駅より徒歩約2分

取材・文/平松温子 撮影/寺澤太郎

サライ2025年5月号大特集は『すべては上野から始まった サライの「東京」』

 

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