生ハム・サラミは注文が入った分だけその場でごく薄くスライスする。その薄さゆえのはかない口当たりも美味しさの秘密。

生ハム類はサラミもまじえて常時8種ほどをラインナップ。もちろんひとことで生ハム・サラミといっても産地や製法、また豚の部位によって風味は大きく異なる。この日は24ヶ月熟成の「プロシュート・ディ・パルマ」、ピンクペッパーとローズマリーで華やかにデコレーションされた「ローザ・ディ・ノルチア」、そして豚の頬を使って脂身がうまい「グアンチャーレ」の三種をセレクトしてもらった。

合わせた酒は北島(滋賀)の生酛を燗で。芳醇なタイプが生ハムと相性がよいという。

そしてこの生ハム・サラミを迎え撃つのは日本酒の燗酒! 江澤さんによれば「生ハムにはもちろんワインもあいますが、ぼくは日本酒のほうがおいしく感じます。とくに燗酒は肉の脂が燗の熱でほどよく溶けるからおすすめです」という。

実際にこの飲み合わせを試してみると、生ハム単体で口にしたときより、燗酒を供にすることで、香りや旨味がより濃く、広がりをもって立ちのぼってくるのがわかった。一片の花びらのようにはかない生ハムをヒラリヒラリと口へ運び、燗酒をグビリ。ヒラリヒラリ、グビリ。気づくとあっという間に一皿(と徳利)が空になった。

この驚異のマリアージュ、ぜひ体験いただきたい。

ちなみに、この店ではタンドーリ(インドの焼き窯)を使った肉のロティ(ロースト)料理も名物だ。タンドーリチキンはもちろん、窒息ガモやフランスのシャロレー牛などマニアックな品揃えで、食通の舌を満足させてくれるはずだ。

【今日の下町美味処】
『29rotie』
■住所/東京都豊島区南大塚1-23-8 はらだ荘 1F
■アクセス/JR「大塚」駅徒歩8分
■電話/03-6902-1294
■営業時間/18時〜24時
■定休日/水曜

文・写真/秋山都
編集者・ライター。元『東京カレンダー』編集長。おいしいものと酒をこよなく愛し、主に“東京の右半分”をフィールドにコンテンツを発信。谷中・根津・千駄木の地域メディアであるrojiroji(ロジロジ)主宰。

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