
本格焼酎の個性と魅力は「香り」によって決まる。
果実のような瑞々しさ、穀物由来の甘さ、紅茶や珈琲のもつ芳ばしさ、花のような芳香……。さまざまなフレーバーが焼酎の輪郭を形作っている。
濵田酒造の麦焼酎『うかぜ』は、この「香り」を追求して生まれたと、ブレンダーの大園栄作さん(50歳)は語る。
「まず香りの異なる4種の原酒を造りました。麦の甘さと芳ばしさを引き出した“芳薫(ほうくん)”、成熟したコクの中に甘みを感じる“樽熟”、紅茶のような芳ばしさの“芳醇(ほうじゅん)”、フルーツの香りがありクリアな“淡麗(たんれい)”。これを、とくに麦本来の甘さと芳ばしさが際立つバランスでブレンドしています」
“甘芳ばしい”新たな本格麦焼酎『うかぜ』。複層的な香りを秘め、ロック、炭酸割り、水割り、湯割り、いずれの飲み方でも表情が変わっていく佳酒である。
中でも、大園さんが推す飲み方は、「紅茶割り」だという。
「原酒の“芳醇”には紅茶の香りがあります。この香りは『うかぜ』の核でもあります。だから紅茶そのものとの相性が抜群なのです」
鹿児島は焼酎王国であると同時にお茶と国産紅茶の主要生産地でもある。大園さんが用意したのは、濵田酒造のあるいちき串木野市からほど近い、薩摩川内市の「崎原製茶」の春摘み紅茶。春先に萌え出た若葉を丁寧に摘み、自社発酵させた香り高い和紅茶である。

野に茶畑が広がる。紅茶用の品種では「べにふうき」「べにほまれ」「べにひかり」「いずみ」を育
て、用いている。

発酵が生む好相性
大園さん流の紅茶割りは、まずポットで丁寧に淹れた紅茶を少し冷ましておく。薄手のグラスに氷をたっぷり入れ、『うかぜ』3、紅茶7の割合で注ぎ入れると、紅茶の香りがふわっと立ちのぼる。飲み進める過程で、香りの立ち方が変わっていくと大園さんはいう。
「氷が溶けていくと、香りのうちで、甘さ、芳ばしさがより際立ってくるはずです。紅茶の香りは、茶葉の酸化発酵によって生まれます。一方、焼酎においては、麹菌や酵母など微生物による発酵が香りに深みを与えている。仕組みは違えど、発酵が生み出した香り同士が合わないはずがないのです。自然界にすでに存在する香りを抽出したものが焼酎。だから焼酎は自然にすっと体に入ってくるのだと私は考えています」
清涼感あふれる『うかぜ』の紅茶割り。夏の体に沁み入るはずだ。

濵田酒造『うかぜ』

タイプの異なる4つの原酒を造り、それを緻密な配合でブレンドした本格麦焼酎。ビスケットやパンを彷彿させる甘芳ばしい香りの美酒である。25度900mL、1166円。1800mL、2195円。https://shochu.life/item/002249
問い合わせ先/濵田酒造 電話:0996・21・5260(平日9時~17時)
