おいしさの要は“一貫生産”にあり
新蕎麦の収穫
標高約1000mの戸隠は蕎麦の名産地。蕎麦は夏と秋、年に2回収穫され、それぞれ新蕎麦として出荷される。写真は秋の収穫の様子(上)と収穫直前の蕎麦の実(下)。「おびなた」では自社の蕎麦畑を持ち、石臼で製粉後に手打ち蕎麦の店に卸す。
1.脱皮
脱皮機に蕎麦の実(玄蕎麦)を投入すると、円筒形の容器内で蕎麦の皮(蕎麦殻)がむかれていく。蕎麦の実はむき実にすることで、雑味がなくなり、色もよくなる。
2.製粉
脱皮した蕎麦の実を製粉機で挽き、粉にする。乾麵の種類に合わせて製粉した粉は、新鮮なうちに製麵工場で製麵する。粉から麵まで一貫して生産できるのが工場の強みだ。
3.ミキシング
蕎麦粉に小麦粉、「ねり水」などを混ぜる。手打ちでは「水回し」と呼ばれる工程だ。材料を機械で均等に混ぜ合わせると、麵生地(麵帯)をつくる準備が完了する。
4.圧延
ミキシングした材料を機械で薄く延ばしていく。ローラー状の機械に何度か通し、厚さ約1mm前後まで薄くして「麵帯」をつくる。手打ち蕎麦での、麵棒で延ばす作業にあたる。
5.切り出し
麵帯を規定の幅(1.3〜1.4mm)と厚さにし、麵の色調や見た目などを整え切り出して「麵線」にする。麵線は吊り下げられたまま、乾燥室に運ばれる。
6.乾燥
乾麵製造の最重要作業が乾燥だ。同社では乾燥を4室に分け、温度を上げず時間をかけてじっくり乾燥させる。湿気を排出し、新鮮な外気を取り入れながら乾麵に仕上げる。
7.検品/8. 包装
乾燥の終わった乾麵は長さ20cmに裁断され、最終的に検品を経て包装、出荷される。検品を行なう検査室では、サンプルを茹でて時間通りに適正に茹で上がるか、仕上がりの食感も含めて品質を確認する。
おびなた
長野市戸隠2640
電話:026・254・2028
※この記事は『サライ』本誌2025年1月号より転載しました。