物価高が続くなか、もはや節約や節税だけではお金のやりくりが厳しくなってきている現状。そんなとき、もらえるお金を少しでも増やすことができたら、ありがたいですよね。

さまざまに設定されている制度をきちんと利用すれば、もらえるお金を増やすことができるかもしれません。そんなありがたい今すぐ役立つ情報をまとめたのが『初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』(宝島社)です。

監修の小泉正典さんは、これからは「働きながら年金を増やす」時代だと言います。それぞれの生活や仕事にあった制度を賢く利用して、もらえるお金を増やしましょう。

そこで、今回は『初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』の中から、介護や医療に関する届け出についてご紹介します。老後の大きな心配事である介護や医療にかかるお金。届け出次第で免除されたり、戻ってくることがあります。

監修/小泉正典

夫が後期高齢者医療制度に移行したら扶養家族の保険料を割引きに「旧被扶養者の減免制度」

もらえるお金→均等割額:2年間半額 所得割額:当分免除

国民健康保険に移行する人の健康保険料を軽減

最近では、70代や80代になっても現役で働く人が増えています。高年齢者雇用安定法の改正などもあり、今後はこうした人がますます増えていくと思われます。

しかし、定年が延長されたり廃止されたりして、会社に残ることが可能になった場合でも、会社の健康保険には74歳までしか入ることができません。75歳になると、後期高齢者医療制度に移行します。

夫が後期高齢者医療制度に移行すると、それまで夫の健康保険に扶養者として加入していた75歳未満の妻は、国民健康保険に加入しなければなりません。こうした国民健康保険に移行する場合の保険料を軽減するのが、「旧被扶養者の減免制度」です。

減免の対象になるのは、国民健康保険に加入する時点で65~74歳の人です。

市区町村の役所に減免申請書を提出することで、国民健康保険料のうち均等割額が5割安くなります。期間は加入から2年間(24か月)を過ぎるまでとなります。所得割額については、当分の間全額免除になります。

保険料の軽減割合は、世帯の所得によって決まる

国民健康保険料は、世帯で合算した所得金額によって均等割額が軽減されます。被保険者数(後期高齢者医療制度に移行した人を含む)と、給与所得者・公的年金の支給を受けている人の数に応じて基準額が定められ、7割、5割、2割の減額が決められています。

保険料が、すでに7割減や5割減になっている人は、軽減割合の高いほうが優先されるため、旧被扶養者の減免制度の対象外となります。均等割額が2割減の人は、旧被保険者の減免制度と合わせて5割減になります。

【そのほかの国民健康保険料減免制度】

◆非自発的失業者の保険料減額
倒産や解雇などの理由で失業したとき、65歳未満の人は、前年の給与所得を30/100として保険料を計算して、保険料を減額してもらえる(失業した翌日から翌年度末まで)。

◆災害等による保険料減免
台風、震災などの災害で資産が大きな損害を受けたときや、病気やケガなどで収入が減り、生活が困窮した場合は、減免申請により保険料を減額または免除してもらえる。

高額になってしまった介護サービス費は限度額を超えると払い戻しに「高額介護(介護予防)サービス費制度」

戻ってくるお金→限度額を超えた自己負担額

世帯の収入に応じて介護サービス費を補助

治療費が高額になった場合に払い戻してくれる「高額療養費制度」と同じく、介護保険にも「高額介護(介護予防)サービス費」が払い戻しになる制度があります。

1か月分の自己負担額が、収入に応じた限度額(下の表参照)を超えた場合、申請をすれば超えた分の金額を払い戻してもらえます。

【高額介護(介護予防)サービス費の自己負担限度額】

※世帯ではなく個人単位で払い戻しが受けられる

介護サービスの利用者が同じ世帯に複数いる場合は、それぞれの自己負担額を合算できます。

ただし、福祉用具の購入費、住宅改修費、居住費、食費、日常生活費などは払い戻しの対象には含まれません。

該当者にはお住まいの市区町村から申請の案内が届きます。2年以内に手続きを行わないと、時効で返金されなくなるので注意しましょう。一度申請すれば、以降は該当するたびに自動振込になる自治体もあります。

住民税の非課税世帯には、自己負担の軽減制度も

「高額介護(介護予防)サービス費制度」は、一度支払ったお金が戻ってくるものですが、住民税非課税世帯で、ある一定の要件に当てはまる人は、介護保険の自己負担分そのものを軽減する制度があります。それは各市区町村が窓口として行っている「利用者負担軽減制度」です。制度を利用できるのは住民税非課税世帯のうち、次の要件を満たす人です。

(1)年間収入が150万円以下(世帯人数が1人増えるごとに50万円加算)
(2)預貯金額が350万円以下(世帯人数が1人増えるごとに100万円加算)
(3)日常生活に活用するお金以外の資産がない
(4)親族などに扶養されていない
(5)介護保険料を滞納していない

申請により「負担軽減確認証」を交付してもらうと、特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護などのサービスを利用したとき、自己負担額(1割)のうち、4分の1(老齢福祉年金受給者は2分の1)が軽減されます。

【高額介護サービス費の世帯別限度額適用例】

イラスト 酒井由香里

※令和7年5月1日時点での法律、制度などの情報に基づいて作成しています。

*  *  *

初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金
監修/小泉正典
宝島社 1210円(税込)

小泉正典
1971年生まれ。栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒業。社会保険労務士 小泉事務所代表。一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般、および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。監修書に『知って得する! 制度・支援・補助金 社会保障一覧表 2024年度版』(アントレックス)、『最新版 図解「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)、『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2025-26年最新版』(講談社)などがある。メディア出演、講演、セミナーなども多数。

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2025年
12月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

市毛良枝『百歳の景色見たいと母は言い』

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店