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なぜか笑いがこみ上げる!? 日本画の巨匠・横山大観のユーモアを堪能《生誕150年 横山大観展》

取材・文/藤田麻希

神々しい金地の屏風に、雲海から頂上をのぞかせる富士山が描かれます。シンプルな画題、少ない色数、明確な構成がいさぎよい作品です。

横山大観《群青富士》(右隻) 1917(大正6)年頃 絹本金地彩色 静岡県立美術館蔵 東京展4/13‐5/6展示

横山大観《群青富士》(左隻) 1917(大正6)年頃 絹本金地彩色 静岡県立美術館蔵 東京展4/13‐5/6展示

この絵を描いた横山大観(よこやま・たいかん)は、明治元年(1868)に生まれ、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の第一期生という象徴的な経歴を持つ日本画家です。伝統的な技法を自分のものとしたうえで、新しい画題、新しい描き方などを探求し、日本画界を牽引しました。

近年、100年振りに再発見された作品、「白衣観音」は、観音という伝統的なテーマに挑んだ作品です。デッサンに多少の狂いはあるものの、衣からは手足の線が透け身体の存在感が表され、信仰の対象としての仏画に比べれば、観音が人間らしく描かれている印象を受けます。

横山大観《白衣観音》 1908(明治41)年 絹本彩色 個人蔵

顔立ちは日本人離れしたインド人風、衣装もインドのサリー風で、リアリティに富んでいます。じつは、この絵を描く5年前に、大観は画家の菱田春草とともにインドを旅しています。自らの経験を制作に反映させ、新しい観音像をつくりだしているのです。

馬を曳く人物が山道を歩く様子を描いた「山路」は、油絵のタッチを日本画に応用した意欲作です。とくに、手前の木に施された赤褐色の岩絵の具が目立ちます。砂粒のように粒子が盛り上がり、既存の日本画には見られないガサガサとした感覚で塗られています。第5回文展に出品され、話題をさらいました。

横山大観《山路》 1912(明治45)年 絹本彩色 京都国立近代美術館蔵 東京展5/8-5/27展示

戦後、80歳を超えても大観の勢いは衰えません。伝統的な画題の一つである富士と龍の組み合わせを描いた「或る日の太平洋」も、大観なりの工夫に満ちています。

横山大観《或る日の太平洋》 1952(昭和27)年 紙本彩色 東京国立近代美術館蔵

富士のすぐ下の海の波は、模様のように様式的に描かれますが、画面中央では波同士がぶつかり合う激しいしぶきも表されます。下半分にいたると無造作に線がひかれるだけで、この部分を切りとっても、海を表していることがわからない程、斬新です。

そんな、進取の気性に富んだ、横山大観の生誕150年を記念する大規模な展覧会が、東京国立近代美術館で開催されています(~2018年 5月27日まで)。同館主任研究員の中村麗子さんに展覧会を楽しむためのポイントを伺いました。

「横山大観といえば富士山の絵を思い浮かべる方が多いと思いますが、実はそれは大観芸術のほんの一部にすぎません。彼の作品の魅力は端的に言えば“多彩かつ笑いがこみ上げる”ことです。作品のテーマや画風はひとところにとどまりません。日本東洋の伝統的絵画の表現を幅広く学び、他の作家も脱帽の圧倒的なそしゃく力でそれを自分のものとして縦横無尽に使いこなす。

さらに絵のどこかに遊び心をプラスする能力もピカイチです。接近当時世を大いに賑わせたハレー彗星を伝統的な水墨で描いたものや、伝統的なテーマを扱いながら絵の中の人物や動物をユーモアたっぷりに描いたものなど。斬新で思わずクスリと笑ってしまう作品の数々を会場でお楽しみいただきたいです」

大観の代表作を網羅した10年ぶりの大回顧展になります。40メートルを超える日本一長い絵巻「生々流転」も、すべてご覧いただける貴重な機会です。お見逃しないよう、お出かけください。

【開催概要】
生誕150年『横山大観展』

会期:2018年4月13日(金)~ 5月27日(日)
会場:東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://taikan2018.exhn.jp/
開館時間:10:00~17:00(金・土曜日は20:00まで) 
*入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜(ただし4月30日は開館)

取材・文/藤田麻希
美術ライター。明治学院大学大学院芸術学専攻修了。『美術手帖』などへの寄稿ほか、『日本美術全集』『超絶技巧!明治工芸の粋』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』など展覧会図録や書籍の編集・執筆も担当。

※記事中の画像写真の無断転載を禁じます。

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