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話題の京博『国宝』展で「これだけは見逃せない」必見の作品とは

国宝《天橋立図》雪舟筆 室町・16世紀 京都国立博物館(10月3日~10月29日展示)

取材・文/藤田麻希

普段、何気なく使っている「国宝」という言葉。文化財保護法では、「重要文化財のうち、特に世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」と定められています。

日本における文化財保護の歴史は、明治時代の初め、廃仏毀釈の影響で寺から流出する文化財を守るために始まりました。今から120年前の1897年に制定された古社寺保存法には、初めて法律上に「国宝」という言葉が使われ、国宝の指定が始まりました。つまり今年は、国宝が誕生してから120年目の節目なのです。

そんなメモリアルイヤーを記念して、現在、京都国立博物館で、特別展覧会「国宝」が開催されています。2017年現在、885件ある美術工芸品の国宝のうち、約4分の1にあたる200件以上が、展示替えをしながら公開されるという、世紀の大展覧会です。

当然、注目度は高く、混雑時には入館までに長蛇の列ができ、作品の前に二重三重に人垣ができていることもしばしば(最新の混雑状況は京都国立博物館の公式twitterでチェックしてください)。

そこでおすすめなのは、“この作品だけは必ず最前列で見たい”というものを決めておき、その作品を先に見て、残りを体力と集中力が続く限り、見ていくという方法です。

とはいえ、なにしろ出品作のすべてが国宝ですので、正直どの作品に注目してよいのかわからないとお考えの方も多いはず。そこで、京都国立博物館学芸部研究員の降矢哲男さんに、“これだけは見逃せない”必見の作品を伺いました。

「これは見逃せない、というのは、やはり雪舟の国宝作品6件でしょう。6件すべてが一室に展示されたことはこれまでにありません。これは10月22日までの展示です」

雪舟は、国宝に指定される絵画を最も多く残した、室町時代の画僧。今回の展覧会では、雪舟の国宝6件すべてが一部屋に集合します。

国宝《秋冬山水図(2幅対より)》雪舟筆 室町・16世紀 東京国立博物館(10月3日~10月29日展示)

《天橋立図》は、20枚の紙を継ぎ合わせていることから下絵だと考えられている作品ですが、それまでの水墨画で一般的だった空想の山水の景色ではなく、実際に存在する天橋立の景色を描いた点で、日本美術史にその名を刻んでいます。

「17日からは、最澄と空海の直筆の書である、最澄筆《尺牘(久隔帖)[せきとく・きゅうかうじょう]》(奈良国立博物館)と、空海筆《聾瞽指帰(ろうこしいき) 上巻》(金剛峯寺)がご覧いただけます。二人がそれぞれ中国・唐より伝法の証としてもたらした袈裟も展示中ですので、あわせてご覧いただければと思います。

国宝《聾瞽指帰》(部分) 空海(弘法大師)筆 平安・8~9世紀 和歌山・金剛峯寺(10月17日~10月29日展示)

そして、絶対に見逃してはいけないのが、大徳寺塔頭の龍光院の《曜変天目》です。茶碗の中の宇宙をご体感ください」(降矢さん)

10月17日から29日まで展示される龍光院所蔵の《曜変天目》は、世界に3碗しか存在していない《曜変天目》のうちの1碗。中国・南宋時代の福建省で焼かれた茶碗で、黒い釉薬上に星のような斑紋があらわれ、キラキラと輝きます。東京の静嘉堂文庫美術館、大阪の藤田美術館所蔵の「曜変天目」(いずれも国宝)に比べ、龍光院のものはめったに一般公開されることがなく、この機会を逃したらいつ見られるかわかりません。

「31日からも、誰もが教科書などで目にしたことのある《金印》(福岡市博物館)や、長谷川等伯と息子・久蔵の共演、神護寺三像(《伝源頼朝像》《伝平重盛像》《伝藤原光能像》)勢揃いなど見どころ満載です。

国宝《伝源頼朝像》鎌倉・13世紀 京都・神護寺(10月31日~11月26日展示)

展覧会の最後を飾る11月14日からは、京都への里帰りがおよそ100年ぶりとなる尾形光琳筆《燕子花図屏風》(根津美術館)、円山応挙筆《雪松図屏風》(三井記念美術館)、与謝蕪村筆《夜色楼台図》という、近世絵画の国宝作品が揃い踏みとなります。

国宝《雪松図屏風・左隻》円山応挙筆 江戸・18世紀 東京・三井記念美術館 (10月31日~11月26日展示)

国宝《雪松図屏風・右隻》円山応挙筆 江戸・18世紀 東京・三井記念美術館 (10月31日~11月26日展示)

日本の歴史と美術の結晶である国宝作品を通じて、何百年、何千年という時を超えたドラマを感じていただければ幸いです」(降矢さん)

また筆者がお勧めしたいのは、長谷川久蔵筆《桜図壁貼付》です。

国宝《桜図壁貼付》長谷川久蔵筆 桃山・16世紀 京都・智積院(10月24日~11月12日展示)

桃山時代に活躍した長谷川等伯は、能登出身の成り上がりの絵師。50代に入った時、当時の画壇覇者、狩野派を差し置いて、豊臣秀吉に祥雲寺の障壁画を依頼されました。等伯は一門を総動員して、この大事業に挑みました。そのうちの一図が、等伯の息子・久蔵が担当した《桜図壁貼付》です。絢爛豪華な大画面。持ちうるすべての力をつくして、秀吉の要望に応えようとしているように見えてきます。

しかし、久蔵はこの絵を描いた直後に急逝してしまいました。展示室では息子の死の後に、等伯が描いたと考えられている《松林図屏風》と並び、親子の作品が共演します。

国宝《松林図屏風・左隻》長谷川等伯筆 桃山・16世紀 東京国立博物館(10月31日~11月12日展示)

国宝《松林図屏風・右隻》長谷川等伯筆 桃山・16世紀 東京国立博物館(10月31日~11月12日展示)

今回ご紹介したもの以外にも、注目作品は山ほどあります。これから観に行かれるのであれば、ぜひ事前に出品目録を確認し、お目当ての作品をチェックしたうえで、お出かけください。

【開催概要】
京都国立博物館開館120周年記念 特別展覧会「国宝」

■会期/2017年10月3日(火)~11月26日(日)
I期 10月3日(火)~10月15日(日)
II期 10月17日(火)~10月29日(日)
III期 10月31日(火)~11月12日(日)
IV期 11月14日(火)~11月26日(日)
※I~IV期は主な展示替です。一部の作品は、上記以外に展示替を行います。
■会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)
■電話番号:075・525・2473(テレホンサービス)
■公式サイト:http://kyoto-kokuhou2017.jp/
■開室時間:午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)
※金・土曜は午後8時まで夜間開館(入館は午後7時30分まで)
■休館日:月曜

取材・文/藤田麻希
美術ライター。明治学院大学大学院芸術学専攻修了。『美術手帖』などへの寄稿ほか、『日本美術全集』『超絶技巧!明治工芸の粋』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』など展覧会図録や書籍の編集・執筆も担当。

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