文/堀けいこ
オーケストラを日本語で言うと、管弦楽団。クラシック音楽の編成では、管楽器、弦楽器、それに打楽器の3つのグループからなる演奏家の集まり。では、いったい何人いたらオーケストラと呼ぶのか。とくに決まりはないが、一般にイメージされる人数は数十人以上。クラシックの場合は100人を超えることも多く、そうした大編成の場合はフルオーケストラとも呼ばれる。多くの演奏家が一体となって演奏するオーケストラのサウンドは、なんとも贅沢。クラシックの世界では19世紀初頭のベートベンの時代に一応の完成をみたと言われているオーケストラだが、こうした編成は他の音楽分野にも波及し、発展した。その1つが、ジャズだ。
ジャズはニューオーリンズで生まれたが、その初期のディキシーランド・ジャズの時代(19世紀終わり)から、トランペットやトロンボーンの金管楽器、クラリネットなどの木管楽器、バンジョーやギターなどの弦楽器、ピアノやドラムスなどの打楽器からなる、5人から8人程度のバンドで演奏され始めた。その規模が拡大し、オーケストラ、またはビッグ・バンドと呼ばれる大所帯のバンドが1920年~30年代にかけてのスウィング時代に全盛を迎える。しかし、第二次大戦中に生まれた少人数のコンボによるアドリブ主体のビ・バップが隆盛になると、伝統的なビッグバンドはしだいに数が少なくなっていった。
しかしながら、大人数の音の職人たちが生み出すオーケストラ・ジャズの厚みのあるサウンドに惹かれるジャズ・ファンは今も多く存在する。そうした期待に応えるべく、世界各国のミュージシャンが登場するブルーノート東京にも、オーケストラ編成のジャズ・バンドがしばしば登場する。
例えば、昨年6月はジャズ/ソウル界のレジェンド、メイシオ・パーカーのビッグ・バンドが、今年4月にはNYラテン界の巨匠エディ・パルミエリが最強のオルケスタを率いて登場。白熱のライブを繰り広げた。2013年に連日超満員になったカリスマ・ピアニスト、ミシェル・カミロ率いるビッグ・バンドは、この9月5日から4夜連続で、6年ぶりにステージに立つ。
そして9月にはもうひとつ、待ちに待ったジャズ・オーケストラが登場する。タイトルは、「レジェンダリー・カウント・ベイシー・オーケストラ directed by スコッティ・バーンハート featuring カーメン・ブラッドフォード」
1936年誕生のカウント・ベイシー・オーケストラは、創始者カウント・ベイシーの没後も精力的に活動。“名門”“老舗”“伝説”といった謳い文句がいくつ並んでも足りないほどの大きな存在で、ブルーノート東京でも、その人気の高さは格別だ。
今回の公演は、昨年8月の来日直後にリリースされた最新作『オール・アバウト・ザット・ベイシー』からの曲を中心に展開。「ワン・オクロック・ジャンプ」などの大定番曲に加え、エラ・フィッツジェラルドやルイ・アームストロングゆかりの名曲も、カーメン・ブラッドフォードのヴォーカルをフィーチャーして披露される予定になっている。
ステージに立つレジェンダリー・カウントベイシー・オーケストラは、トランペッターでもある指揮者のスコット・バーンハート率いる18人編成(予定)。オーケストラ・ジャズの厚みのあるサウンドは、生で聴くといちだんと魅力が増す。ひとりではもちろん、友人や家族とも一緒に楽しみたい。
【スケジュール】
レジェンダリー・カウント・ベイシー・オーケストラ directed by スコッティ・バーンハート featuring カーメン・ブラッドフォード
9月16日(月・祝)~19日(木)
詳細はウェブサイトまで。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/count-basie/
【会場】
ブルーノート東京
東京都港区南青山6-3-16
ご予約/お問合せ
電話:03-5485-0088
文/堀けいこ