文/堀けいこ

1920年代半ばから半世紀にわたり、自身のオーケストラを率いて精力的に活動し続けたデューク・エリントン。「A列車で行こう」「スイングしなけりゃ意味ないね」「キャラバン」など、すでにスタンダート化し、数多くのミュージシャンにカバーされている有名なナンバーは、デューク・エリントン・オーケストラの演奏で生まれた。

加えて、ジョージ・ガーシュウィンと並ぶ早書きの天才ともいわれたエリントンは、生涯に1500を超えるといわれる多くの楽曲を書き残した。前述の「スイングしなけりゃ意味ないね」「キャラバン」は彼自身の作曲だ。

偉大なるデューク・エリントン本人は1974年に75歳で亡くなっているが、バンドはその後も解散することなく、新たなコンダクターを迎えて演奏活動を続けてきた。そんな世界最長の歴史をもつジャズ・バンド、デューク・エリントン・オーケストラが、4年半振りにブルーノート東京に登場する。

2016年12月コットンクラブ公演ライブ写真 撮影 : 山路 ゆか

デューク・エリントンの本名はエドワード・ケネディ・エリントン。1899年、ワシントンDCの裕福な家庭に生まれたエリントンは、子供の頃から身なりもよく、気品もあり、育ちの良さを感じさせたため、友達からはデューク(公爵)と呼ばれた。そして、それがそのまま芸名になった。

エリントンが絶頂期を迎える以前、1920~30年代のアメリカは、まだまだ人種差別を声高に批判できる時代ではなかった。雑誌『スイングジャーナル』の元編集長で音楽評論家の故・岩浪洋三氏は、著書『これがジャズ史だ~その嘘と真実~』の中で、エリントンについて、「黒人がいかに優れた人間で、いかに穏やかで優雅で、威厳があるかを自分の舞台態度や自分の作曲と卓越した演奏で示そうとした」と書いている。

ステージで指揮を執るときも、ピアノを弾いているときも、笑顔を絶やさず、ときには聴衆に投げキッスまでしてみせたというエリントン。今はもう、その姿を見ることはできないが、前回、2013年のブルーノート東京でのデューク・エリントン・オーケストラのステージを観た長年のファンによると、数々の名曲を演奏する実力はもちろん、品格も風格も、デューク・エリントン在籍時と比べて遜色なかったという。きっと今回のステージでも、偉大なる創設者のオーラを感じることができるに違いない。

2016年12月コットンクラブ公演ライブ写真 撮影 : 山路 ゆか

「ジャズのみならず、そして音楽のみならず、20世紀のアートを代表する存在であるデューク・エリントン。2018年音楽界の先端をいくラッパーのケンドリック・ラマーやタイラー・ザ・クリエイターといったトップ・アーティストたちも、デュークの影響を受けていると思います。彼のアートに接するには、残された音源や映像はもちろんのこと、長年にわたり活動を続けているオーケストラのライブがおすすめです!」(ブルーノート東京 広報・原澤美穂さん)

デューク・エリントンが生みだしたビッグ・バンドのダイナミックでエレガントなサウンドを、ぜひとも生で堪能したいものだ。

【公演スケジュール】
デューク・エリントン・オーケストラ

公演日:2018年5月17日(木)、18日(金)、19日(土)
時間、料金などの詳細はブルーノート東京のWebサイトをご覧ください。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/duke-ellington/

【会場】
ブルーノート東京
東京都港区南青山6-3-16
ご予約/お問合せ
電話:03-5485-0088

文/堀けいこ

 

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