Bataclan Theater 2010 by Paul Evrard

Bataclan Theater 2010 by Paul Evrard

誰にでも、心の中には音楽の抽斗(ひきだし)がある。たとえば、ふと立ち寄ったカフェで、店内に流れる昔のヒット曲を耳を傾けた瞬間、しまっておいた街の景色や当時の自分の気持ちが、その抽斗から出てきたりする。そんな貴方の音楽の抽斗の中に、たとえばニーナ・シモンはいるだろうか。

1950年代半ばから半世紀近くにわたり第一線で歌い続けたニーナ・シモン。彼女が伝説的なミュージシャンとされる所以は、奥深い歌声と類い稀なる表現力はもちろん、ジャズ、ポップス、ソウルといった、音楽のジャンルの枠に収まらない柔軟で幅広い演奏で世界の人々を魅了したからだ。

そんな“ニーナ・シモンを彷彿させる”ミュージシャンとして、今注目されているのが、スペイン出身の歌手、ブイカだ。

地中海西部のバレアレス海に浮かぶマジョルカ島で、1972年、ギニア共和国出身の両親の下に生まれたブイカは、地元の音楽であるコプラやカンテ(歌)・フラメンコが聴こえる環境で育った。周りの人々は、幼少のうちから彼女の音楽的な才能とセンスに気づいていたという。

歌手として出発した彼女は、2005年にソロアルバム『ブイカ』を発表、翌年には『ミ・ニーニャ・ローラ』がヒット。2009年発表の『エル・ウルティモ・トラゴ』でラテン・グラミー賞を獲得、13年発表の『ラ・ノーチェ・マス・ラルガ』は第56回グラミー賞のベスト・ラテン・ジャズ部門にノミネートされるなど、充実した作品を残してきている。

数々のアルバムやステージで披露されるブイカの音楽は、心揺さぶるスペインの音楽をベースに、レゲエ、R&B、アフロビート、ゴスペル、そしてジャズと、まさにジャンルを超えた多彩な要素を抱えている。そんなスケールの大きさから、伝説のニーナ・シモンを引き合いに出して讃えられるのも納得がいく。

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そんな注目のシンガー、ブイカの待望の来日公演が目前に迫っている。3月4日(土)は、至近距離でブイカの圧倒的な歌唱力と存在感のある佇まいを堪能できるであろう東京・青山「ブルーノート東京」でのライブステージ。3月7日(火)には、東京・錦糸町の「すみだトリフォニーホール」で、オーケストラ(新日本フィルハーモニー交響楽団)をバックに歌う。こちらは壮大なステージが期待できる。

「ブイカが生まれ育ったマジョルカ島の音楽と、両親の出身地であるギニア共和国の文化、そして彼女が聴いて育ったジャズ、レゲエ、ソウルといった音楽が一体となった唯一無二のサウンド、豊かな表現力と素晴らしい歌声を持つ彼女の魅力を、ぜひライブで体験していただきたいです」

そう語るのは「ブルーノート東京」広報の原澤美穂さん。

ブイカの日本での単独公演は、今回が初めて。その歌声は、きっと、貴方の音楽の抽斗にいつまでの残るにちがいない。

【ブルーノート東京 ブイカ公演情報】
■公演日時/3月4日(土)
第1ステージ 開場16時 開演17時
第2ステージ 開場19時 開演20時
■ミュージックチャージ/9,000円(税込)
■会場/ブルーノート東京
東京都港区南青山6-3-16 ライカビル
■予約・問合せ/電話: 03-5485-0088

【すみだトリフォニーホール「ブイカ シンフォニック・スペシャル・ナイト」】
■公演日時/3月7日(火)
開場18時30分 開演19時
■会場/すみだトリフォニーホール
東京都墨田区錦糸1-2-3
■問合せ/電話03・5608・1212(トリフォニーホール・チケットセンター)

※チケットは各プレイガイドにて発売中

文/堀けいこ

 

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