文/堀けいこ
ジャズの世界には、いつの時代にも人々を魅了する女性ヴォーカリストがいるが、あえてベスト3といえば、ビリー・ホリデー、サラ・ヴォーン、そしてエラ・フィッツジェラルドの3人が、まず挙がるだろう。
その御三家の中でも、最も長い間活躍し、グラミー賞を13回受賞という偉業を成し遂げたのがエラ・フィッツジェラルド。2017年は、彼女の生誕100年に当たる。
紛れもなく20世紀を代表するシンガーであるエラ・フィッツジェラルドは、コール・ポーター、ジョージ・ガーシュウィン、アーヴィング・バーリンなど、アメリカを代表する作曲家たちの作品集を積極的にリリースした他、ルイ・アームストロングとのデュエットの録音など、傑作アルバムを多く世に残した。
そんなエラをリスペクトする後進たちによるトリュビュート・アルバムも多いが、中でも、パティ・オースティンが2001年にレコーディングした『for Ella/エラ・フィッツジェラルドに捧ぐ』は名盤。エラの初めてのヒット曲「ア・ティスケット・ア・タスケット」などが収められ、日本のジャス・ファンにも愛されている。
エラを愛してやまないパティ・オースティンは今年、ニューヨークのアポロ・シアターをはじめ各地でエラに捧げるトリビュート・コンサートを行ってきたが、いよいよ12月に来日し、ブルーノート東京で“エラ・フィッツジェラルドの生誕100年”という記念すべき年の最後を飾るステージを開くことになった。
「クインシー・ジョーンズに才能を見出されて9歳で彼のツアーに参加したのをきっかけに、クインシーの名盤への客演、ソロ・デビューと瞬く間に第一線に躍り出た後、長年にわたって精力的に活躍してきたトップ・ヴォーカリスト、パティ・オースティンが“ジャズのファースト・レディ”エラ・フィッツジェラルドをトリビュートするという夢のステージ。素晴らしいひとときになること、間違いありません!」
ブルーノート東京の広報、原澤美穂さんがそう語るパティのステージは、12月19日から4日間にわたって行われる。
これまでにも2度、年末のクリスマス・シーズンにブルーノート東京のステージに立ち、魅惑のシルキー・ヴォイスで客席の人々を幸せに満ちた豊潤な空気で包んでくれたパティ・オースティン。ジョークを交えたMCに、ナチュラルで美しい笑顔。4歳のときから舞台に立っているという彼女には、生まれながらのエンターテイナーという形容がぴったりだ。
どちらかと言えばブラックコンテンポラリーやAOR、フュージョンのイメージが強いパティだが、今回は、エラ・フィッツジェラルドに捧げるプレミアムなライブ。豊かな声量と卓越したリズム感の持ち主であるパティと、エラの醍醐味である自由奔放なスキャットの融合が、ジャズの真髄を見せてくれるだろう。そして、ホリデイ・シーズンらしいロマンティックなバラードも聴かせてくれるに違いない。期待に胸が膨らむ。
つねに一流のエンターテインメントを提供しながら円熟を重ねてきたパティ・オースティンの今を、ライブ(生)で聴くことができる貴重なステージ。ぜひ会場で、その幸せに浸りたい。
【公演情報】
『パティ・オースティン・シングス・エラ・フィッツジェラルド ―生誕100年記念公演―』
■日程:2017年12月19日(火)、20日(水)、21日(木)、22日(金)
■会場:ブルーノート東京(東京都港区南青山6-3-16)
■ご予約/お問合せ:電話 03-5485-0088
※時間、料金などの詳細は下記イベント公式ページをご確認ください。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/patti-austin/
ブルーノート東京では、パティ・オースティン公演期間(12/19~12/22)も、年末のプレミアムなライブの夜を彩るスペシャルディナーコース(アミューズ/前菜/メイン/デザート)が用意されています。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/patti-austin/#menu
文/堀けいこ