江戸の人口が100万人を超え、都市として著しい発達を遂げた18世紀は、中国では北京が清朝の首都として最も繁栄を極めた時代でもありました。日本と中国には文化交流の長い歴史があり、江戸時代の鎖国下にあっても中国貿易は公認され、長崎を窓口にして文物の交流は続きました。
そんな18世紀の二大都市、江戸と北京の生活と文化を比較する興味深い展覧会が、東京・両国の江戸東京博物館で開催されています。18世紀を中心に、江戸と北京のなりたちや生活、文化を展観し比較できる展覧会です。(~4月9日まで)
本展の見どころを、東京都江戸東京博物館の学芸員、江里口友子さんにうかがいました。
「見どころは、江戸・日本橋の賑わいを描いた『熈代勝覧(きだいしょうらん)』と、乾隆帝80歳の式典に沸く北京の風景を描く、日本初公開の『乾隆八旬万寿慶典図巻』、そして康熙帝60歳の式典を描いた『万寿盛典』の3点の絵画です。
当時の都市と暮らしを精緻に描いたこれらの作品によって、同時代の江戸と北京を一目で比較できる展示となっています。そして描かれている当時の看板や道具なども合わせて展示し、当時の風景を立体的に展観します。
またそれ以外にも、商売、歳事、学問や遊びなどの様々なテーマをもとに資料を展示し、似ているようで違っている江戸と北京の生活と文化を比較していきます。
さらに、北京・首都博物館秘蔵のコレクションから、清代の芸術文化を伝える名品も展示。江戸の人々が憧れた絵画や陶磁器など、優れた美術品の数々も紹介します。
これまで清朝の芸術や宮廷文化に関する展覧会は数多くありましたが、北京の都市生活を江戸と比較する企画は、今回が初めてです。この機会に是非足をお運びください」
18世紀の江戸と北京、どこが似ていてどこが違うか、ぜひ会場でお確かめください。
【特別展「江戸と北京 18世紀の都市と暮らし」】
■会期/2017年2月18日(土)~4月9日(日)
■会場/東京都江戸東京博物館 1階 特別展示室
■住所/東京都墨田区横網1-4-1
■電話番号/03・3626・9974
■料金/特別展専用券:一般1400(1120)円 大学生・専門学校生1120(900)円 65歳以上・高校生・中学生・小学生700(560)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※身体障がい者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳・被爆者健康手帳所持者と付添者(2名まで)は無料
■開館時間/9時30分から17時30分まで、土曜日は19時30分まで(入館は閉館30分前まで)
■休館日/月曜日(ただし3月20日は開館)、3月21日(火)
■アクセス/JR両国駅西口より徒歩約3分、都営地下鉄大江戸線両国駅(江戸東京博物館前)A3・A4出口より徒歩約1分
取材・文/池田充枝