日本の戦国時代とは、どんな時代であったのか。貴重な歴史資料を通して戦国という時代を検証する展覧会が、東京都墨田区の江戸東京博物館で開催されています。(~2017年1月29日まで)

川中島合戦図屏風 米沢本 左隻(部分)〔18世紀末-19世紀初 米沢市上杉博物館蔵〕展示期間11月23日~12月25日

川中島合戦図屏風 米沢本 左隻(部分)〔18世紀末-19世紀初 米沢市上杉博物館蔵〕展示期間11月23日~12月25日

戦国時代とは、毛利元就、武田信玄、上杉謙信、織田信長ら個性際立つ戦国武将が活躍し、各地で合戦が繰り広げられた時代、などと漠然ととらえがちですが、本展では、享徳3年(1454)の享徳の乱や応仁元年(1467)の応仁・文明の乱から、織田信長が足利義昭を京都から追放した天正元年(1573)までの約100年を戦国時代とし、列島の各地で多様な広がりをみせた様相を多角的な視点で捉えて検証・紹介します。

秋田市指定有形文化財 黒塗紺糸縅具足〔天文5年(1536) 秋田市立佐竹史料館蔵〕展示期間1月2日~1月29日

秋田市指定有形文化財 黒塗紺糸縅具足〔天文5年(1536) 秋田市立佐竹史料館蔵〕展示期間1月2日~1月29日

本展の見どころを、東京都江戸東京博物館の学芸員、齋藤慎一さんにうかがいました。

「戦国時代は、群雄割拠して有力大名たちが権力を強固にしていき、京都を中心にした権力は衰退します。しかし、長い間京都で蓄積された文化がもたらす権威は依然として京都にあり、いわゆる権威と権力が分離した時代と言えます。

下剋上の言葉に代表されるように、戦国時代は国が乱れた時代というイメージがありますが、狩野派の絵画をはじめとする美術や茶の湯など中央の文化が地方に広がり、地域文化として再生産されるという、ある種の秩序がみられます。

本展では、全国各地に伝わる貴重な歴史資料や美術工芸品などを一堂に会し、戦国時代が文化的、経済的に実り多き時代であったことを伝えます。

国宝・上杉家文書、国宝・上杉本洛中洛外図屏風、重要文化財・毛利元就所用の太刀、関東では初公開となる北条家に伝わる甲冑、東南アジアやアイヌなど異文化との交易を伝える品々など、見応えのある展示品が並びます」

本展は、京都府京都文化博物館(2017年2月25日~4月16日)、米沢市上杉博物館(4月29日~6月18日)に巡回されます。

【戦国時代展】
■会期/2016年11月23日(水・祝)~2017年1月29日(日)会期中展示替えあり
■会場/東京都江戸東京博物館 1階特別展示室
東京都江戸東京博物館 のサイトはこちら
■住所/東京都墨田区横網1-4-1
■電話番号/03・3626・9974(代表)
■料金/一般1350(1080)円 大学・専門学校生1080(860)円 小・中・高校生・65歳以上680(540)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※身体障がい者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳・被爆者健康手帳所持者と付添者1名は無料
■開館時間/9時30分から17時30分まで、土曜日は19時30分まで(入館は閉館30分前まで)■休館日/月曜日(ただし1月2日、9日、16日は開館)、12月26日(月)~1月1日(日)
■アクセス/JR総武線両国駅西口より徒歩約3分、都営地下鉄大江戸線両国(江戸東京博物館前)駅A3・A4出口より徒歩約1分

取材・文/池田充枝
1989年「サライ」の創刊時より歴史資料の調査や展覧会情報を中心にフリーランスで「サライ」の取材・執筆に携る。

 

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