きりっと冷やし手早く味わう

出汁の比率を多めにしたぶっかけそうめんも清涼感がある。具材は煮椎茸、卵豆腐。彩りに添えたのはすだちやみょうが、食用花など。

熱気が絡みつく京都の夏。『菊乃井』本店の厨房では、そうめんがまかないに登板する日が増える。

「方々からお中元に戴いたそうめんを、ああでもないこうでもないと言いもって食べています。単純な料理なだけに飽きささんようにするには頭を使います。ええ勉強になりますよ」(村田さん)

つゆも麺も速やかに冷やす

そうめんの味を決定づける基本は、つゆの旨みと麺の弾力だという。共通するのは、火から下ろした後、速やかに冷ますことだ。

「つゆの色は淡く仕上げます。そのほうが涼しげに感じられます。そして旨み。薄味のように見えても、口に入ると旨みが主張してくるくらいにします。仕上がったつゆはすぐ冷ましてください。自然に冷ますと夏は鰹出汁の香りが抜けて味がぼけやすくなります。

麺は、すぐに氷水で締めながら表面のぬめりを洗い落とすと、弾力が出て喉越しがよくなります」

そうめんを美味しくする大事な秘訣が、じつはもうひとつある。

「ふやけやすいのでおしゃべりはほどほどに。すぐ食べましょう」
 
10分ほどで箸を置くくらいが、理想的な食べ方だそうだ。

出汁の昆布は60℃の湯で1時間。取り出したら85℃まで上げ鰹節を入れる。10秒で火を止めて漉し、すぐに冷ます。
簡単なようで難しい。「そうめんはつくる人のセンスが試される料理です」

淡い色合いと濃い旨み

「京都風」めんつゆのつくり方

●出汁材料(基本分量)
水……1800mL
昆布……30g
鰹節(本枯節)………………50g

●つゆ材料(2人前)
出汁………24mL
薄口醤油……4mL
みりん……4mL
追い鰹………ひとつかみ

1. 色は淡く仕上げる

火にかけた出汁に調味料を加える。醤油の色が強いと清涼感が薄れるので、淡い薄口醤油を使う。

2. 追い鰹で旨みを加増

沸騰直前に鰹節をひとつかみ加える。見た目は淡く涼しげだが旨みは濃厚。これが理想のめんつゆ。

3. 漉してすぐ冷ます

鰹節を入れたら10秒で火を止め、漉す。火から下ろしたらすぐに冷ますと風味が薄れにくい。

たっぷりの湯にくぐらせる

そうめんの茹で方

1. 湯はたっぷり使う

湯が沸いたら散らすようにそうめんを入れる。湯量は1人前(ひと束)あたり1L。鍋は大きなものを。

2. ていねいにほぐす

箸でほぐしながら中火で茹でる。時間は商品袋の表示を基準に。

3. 氷水で手早く冷やす

水で粗熱を取り、すぐ氷水へ移し洗う。のびやすいので手早く盛る。

解説 村田吉弘さん(『菊乃井』主人・73歳)
昭和26年、料亭の3代目として生まれる。立命館大学卒業。平成24年、現代の名工に選出。NPO法人日本料理アカデミー名誉理事長。和食のユネスコ世界文化遺産登録にも尽力。

取材・文/鹿熊 勤 撮影/小林禎弘

 

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