
物価高が続くなか、もはや節約や節税だけではお金のやりくりが厳しくなってきている現状。そんなとき、もらえるお金を少しでも増やすことができたら、ありがたいですよね。
さまざまに設定されている制度をきちんと利用すれば、もらえるお金を増やすことができるかもしれません。そんなありがたい今すぐ役立つ情報をまとめたのが『初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』(宝島社)です。
監修の小泉正典さんは、これからは「働きながら年金を増やす」時代だと言います。それぞれの生活や仕事にあった制度を賢く利用して、もらえるお金を増やしましょう。
そこで、今回は『初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』の中から、自宅のリフォームや改修に関する届け出についてご紹介します。要支援、要介護の認定がなくても受けられる給付もあります。予防のためにもぜひ活用しましょう。
監修/小泉正典
改修費が最大9割引き! 元気なうちにリフォームしよう
「住宅改修予防給付」(※自治体により名称は異なる)
もらえるお金→最大18万円
リフォームで暮らしやすく要介護になる原因を予防
それまで元気だった高齢者が転倒などをきっかけに介護が必要になり、認知症へ進むという症例が多く報告されています。それを予防するためには、元気なうちに安全に暮らせるよう住宅をリフォームする必要があります。そのために使える制度が「住宅改修予防給付」です。
給付を受けられるのは「要介護」「要支援」と認定されていない人で、自宅の段差の解消や、手すりの取り付け、転倒防止のための床材の変更、和式便器を洋式便器に取り替えるなどのリフォーム工事を行うと、自治体が工事費の一部を負担してくれます。
給付額は自治体によって異なり、工事費の上限額を20万円とし、収入に応じて7~9割を給付する自治体が多いようです。つまり、1割負担の場合なら、20万円の工事でも2万円の負担で済むということです。残りの工事代金は、自治体から施工業者に直接支払われます。自宅での事故が原因で障害を負ったり認知症にならないよう、早めに改修を行いましょう。
申請するには、地域包括支援センターなど介護担当窓口への事前相談が必要。職員が住宅を訪問し、家屋の状況などを調査します。

【対象となる工事の一例】
●段差の解消
●手すりの取り付け
●転倒防止などのための床材変更
●身体負担軽減のための扉の変更
●和式便器から洋式便器への変更
など
工事費最大額=20万円
1割負担の場合=2万円
【対象外の工事】
●老朽化や破損を補修する工事
●新築、新設、増設工事
●便利な機能を追加する工事
●高齢者の身体機能の低下にかかわらない改修
●高齢者の主たる生活範囲と無関係な工事
●申請前に着工または完成している工事
要支援・要介護認定者には設備改修で100万円の給付も
「住宅設備改修給付」
もらえるお金→工事費用の7~9割 ※自治体により異なる
使いやすく改修して介護する家族の負担を軽減
「住宅改修予防給付」とは違い、こちらは「要支援1・2」「要介護1~5」と認定された高齢者が対象です。
介護が必要な人にとって、深い浴槽や和式便器はとても使いにくいものです。そのまま使い続けると、転倒などの事故も起こりやすくなり、そのたびに介護度も高くなっていく傾向があります。
そこで、リフォーム工事代金の一部を自治体が負担し、住まいの設備を新しくする取り組みが行われています。
使いやすい設備に改修すると、介護する家族の負担も軽くすることができます。
対象となる設備は、手すりの取り付けや、浴槽、トイレ、流し台などです。
車椅子を使用している場合、狭い玄関などは日常の行き来に困難を伴うことが多く、造作物の撤去が必要不可欠となります。そのための工事も対象となっています。
地域によっては、階段昇降機やエレベーターの設置工事に100万円以上の給付をしてくれる自治体もあります。必ず工事前にケアマネジャーに相談しましょう。申請すると、介護保険の負担割合に応じて、工事代金の7~9割を自治体が負担してくれます。

【対象となる工事の一例】

※令和7年5月1日時点での法律、制度などの情報に基づいて作成しています。
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初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金
監修/小泉正典
宝島社 1210円(税込)

小泉正典
1971年生まれ。栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒業。社会保険労務士 小泉事務所代表。一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般、および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。監修書に『知って得する! 制度・支援・補助金 社会保障一覧表 2024年度版』(アントレックス)、『最新版 図解「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)、『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2025-26年最新版』(講談社)などがある。メディア出演、講演、セミナーなども多数。











