新世代の造り手が生み出す本格焼酎に惚れ込み、新たな酒と料理の楽しみを提案する酒場が今、熱い。東京、愛知、大阪、鹿児島で出会った珠玉の一軒へ。
発酵調味料やハーブを配した料理で蒸留酒を珠玉の食中酒に

店主の一場鉄平さんは、ジンの蒸留家。もともと空間デザイナーとして活動していたが、都内でジンを造る虎ノ門蒸留所の立ち上げに携わるうち、造り手側に転身した経歴の持ち主だ。
一場さんは八丈島や新島の島焼酎をベーススピリッツにしてジンを造る。蒸留を学ぶ過程で島の蔵元と交流ができ、仕込みを手伝い、九州各地の蔵を訪ねるまでになった。蒸留酒をもっと日常で味わってほしいと『かまびす』を開いたのは3年前のこと。店で扱う焼酎は、そんな一場さんが造り手の想いに共感して選んだものが多い。

ジャンルの垣根を超えた料理
女将のもみさんも虎ノ門蒸留所で働いていたが、その前はヴィーガンレストランの料理人だった。その腕を見込まれ『かまびす』に入り、料理を担う。もみさんの料理は和食をベースに発酵食やスパイス、ハーブを取り入れたもの。たとえば水と塩だけで乳酸発酵をさせた白菜と豚肉を煮込んだ「発酵白菜の煮込み」や、チリソースと柑橘の皮を隠し味にした「岩中豚のれんこん巻揚」などがそろう。

ほかにも島唐辛子、柑橘類、エスニック料理に欠かせないチリソースやバイマックル(こぶみかんの葉)もあり……というと、刺激が強そうに思えるがさにあらず。甘さと辛さ、酸味のバランス加減がよく、焼酎に寄り添う味わいだ。
「料理との組み合わせや飲み方を難しく考えず、お試しを」と、もみさん。店名は、賑やかな様子を表す“かまびすしい”に由来する。
「発酵を促す微生物がワイワイするように、おいしい酒と食を通じて人が集う賑やかな店をイメージして名付けました」と一場さん。造り手の想いが伝わる焼酎と、料理を目当てに集まる人たちで、今宵もかまびすしい時が始まる。


“今”の本格焼酎への入口にどうぞ
かまびす

東京都江東区深川1-8-12 パーソナルハイツ門前仲町1階
電話:070・8957・5794
営業時間:17時〜22時(最終入店21時30分)
定休日:日曜、月曜
交通:東京メトロ東西線・都営地下鉄大江戸線門前仲町駅より徒歩約7分
取材・文/永田さち子 撮影/齋藤 明











