編集者A(以下A):6月21日、京都太秦にある松竹京都撮影所で2025年の大河ドラマ『べらぼう 蔦重栄華乃夢噺』(以下『べらぼう』)の取材会が行なわれました。私もいそいそと参加したわけですが、ちょうどNHKBSで再放送されている2000年の朝ドラ『オードリー』の舞台でもある太秦を訪れるのは、感慨深いものがありました。
ライターI(以下I):当日は、蔦屋重三郎役の横浜流星さんが取材対応したようですね。
A:はい。加えて制作統括の藤並英樹さんが登場しました。藤並さんは『軍師官兵衛』『おんな城主 直虎』『麒麟がくる』で演出などを務め、さらに昨年の『大奥』では、男女逆転した大奥世界を重厚なドラマに仕上げた手腕が注目された「エース」です。
I:ということは、『べらぼう』にも期待大ですね!
A:横浜流星さんは、取材会で意気込みを語ってくれました。
このドラマの第1回の冒頭のシーンから撮影が始まったので、そこはすごく気持ちが入りました。まだまだ探りながら、京都という素敵な場所で、綺麗な空気の中、自然に囲まれながら蔦重として今生きていて、これから1年半、蔦重とともに成長していけたらいいなと思っています。
I:横浜さんは蔦重という人物をどのように解釈して演じているんですかね。
蔦重は度胸もあって責任感もあるんですけど、ダサさもあるので、すごく人間臭い男だなと今思っています。内面の部分には共感できる部分がたくさんありますが、表面の部分は自分と正反対なので、そこはいつも朝からエンジン全開でやっています。自分にしか出せない蔦重を作っていけたらなと思っています。
A:予想していたよりも、ピタッとはまっているなあ、とほれぼれする感じでしたが、横浜流星さんは、取材対応の後に、いったん撮影現場の方に戻りました。その時、子役とおぼしき男の子(渡邉斗翔くん)が笑顔で流星さんに近づいてきました。そのあまりに無邪気な笑顔にドキッとしていると、横浜流星さんがすぐさま、男の子の肩に手を回して、ほんとうにほんとうに仲の良い様子で一言二言、言葉を交わしていたんです。
I:よくそんな場面に気がつきましたね。
A:会見時にも少年がやってきて一緒に報道陣の前に立ったのですが、私が見たのはカメラが回っているわけでもなければ、メディアの人間の前でもない時でした。完全にオフシーン。私はその場面を見て、自然な感じで子役と「スキンシップ」をとる流星さんの人柄の良さを感じるのと同時に、始まったばかりの撮影現場の雰囲気が良好であることを確信してうれしくなりました。
I:それはよかったですね。
A:そういう瞬間があったことを大河ドラマファンと横浜流星ファンの方々に報告したくて、その時からうずうずしていたんですよ(笑)。
I:雰囲気のいい現場からはいい作品が生まれますからね。これは期待してよさそうですね。
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