愛妻瀬名の奪還なるか、元康(演・松本潤)。(C)NHK
服部半蔵(中/演・山田孝之)率いる伊賀忍者と甲賀忍者が大活躍!(C)NHK

ライターI(以下I):前週に元康(演・松本潤)正室の瀬名(演・有村架純)奪還作戦に失敗した本多正信(演・松山ケンイチ)と服部半蔵(演・山田孝之)が、〈戦のどさくさにまぎれ、上ノ郷城に忍び込み〉〈鵜殿長照(演・野間口徹)とそのふたりの子を生け捕りにいたしまする〉と新たな策を献じます。

編集者A(以下A):これまでの通説とエンターテインメントが融合した感じで、面白くなってきましたね。〈かつて今川義元公が幼き殿を尾張から取り返したる手を使うのです〉と説明されました。当時竹千代だった元康と織田信長の庶兄信広との人質同士の交換のことを言っているわけです。

I:その役目を本多正信、服部半蔵が仕切るという設定なのですね。前週の「奪還失敗」で大鼠(演・千葉哲也)らベテランが討ち死にしたのを受けて、新たに40名ほどの忍びが招集されました。さらに、甲賀衆46名も!

A:甲賀の伴与七郎(演・新田健太)も登場しました。こちらの方は記録類に上ノ郷城攻めに参加した旨が記されていますから史実を面白く反映させた形になりました。この与七郎、その後どうなったかは、よくわかっていないのがまた面白いですね。家康の歴史のひとコマに現れて、上ノ郷城を落城へ導き、さっそうと去っていき、その後の人生は杳として知れないわけです。

I:なかなかに格好いい人物ですね。

A:そして前週に討ち死にした大鼠の娘(演・松本まりか)が〈今日から(私が)大鼠〉と「女大鼠」を名乗って参戦します。

I:いわゆる「くノ一」ってことでいいんですかね?   なんだか大河忍術ドラマの雰囲気です。わくわくしますが、一方で不思議な感じがします。

A:そういえば、第6回冒頭では「忍」「忍」「忍」とクレジットとナレーションが展開されていたので、アニメの『忍者ハットリくん』を思い出しました。アニメの『忍者ハットリくん』の放映開始は1981年9月。前週も取り上げた『服部半蔵 影の軍団』と『風神の門』は1980年放映のドラマですから、80年代前半はプチ忍者ブームがあったのかもしれません。

I:ちなみに合戦の舞台となった上ノ郷城は蒲郡市にある城です。城跡は現在みかん畑になったりしています。さて、ここで元康の母・於大(演・松嶋菜々子)が音頭をとっておむすびを作っていました。〈米はなぜコメと呼ぶか知っているか! 心を込め、命を込め! 勝利への願いを込めたものだからだからじゃ!〉です。「結び」の力を結集しようということなのでしょう。

A:〈勝て! 勝て! 勝て!〉のシュプレヒコールでした。何がなんだかよくわかりませんが、高揚感があっていいですね。

I:そして、元康が再び金陀美具足を身につけます。家康が亡くなった際の遺言で遺骸が葬られた久能山東照宮に所蔵されている具足ですが、3月21日まで「徳川家康公展」が開かれ、実物が展示されているそうですね。

A:はい。実は先週もお参りに行ったばかりです。家康が「西に向けて」と遺言したご神廟、壮麗な本殿は権現造りの源流です。主演の松本潤さんも複数回お参りしているそうです。徳川家康がなぜここに葬るように遺言したのか、なぜ西に向けて廟を設けるようにしたのか、実際にお参りすれば、その答えに近づけるのではないかと思っています。

I:なぜ、家康は久能山に葬るように遺言したのでしょうか。

A:それは追い追い検討していきたいと思います。

女大鼠(演・松本まりか)、誕生。(C)NHK

忍びが暗躍して瀬名奪還!

I:榊原小平太(演・杉野遥亮)が参陣して〈殿の小姓となって半年〉とか言っていましたが、「そうなんだ、もう半年経ったんだ」と思いました(笑)。小平太の風体を見て、三河出身として言いたいのですが、いくら貧乏武士という設定だとしても、あんな具足はない、と指摘しておきたいと思います。

A:三河武士をバカにするな! って言いたいのですよね。まぁ、でも家臣団が和気藹々でいいじゃないですか。その一方で、於大が〈攻め手の大将は我が夫、久松長家にお任せくだされ〉と夫を売り込みましたが、2002年の『利家とまつ』の〈私にお任せくださりませ〉へのセルフオマージュですかね。さりげなくぶち込んできた印象ですが、感慨深いです。個人的には、酒井忠次にえびすくいやって欲しかったですけどね。

手に汗握る忍術大河から「通説」にパトンタッチ。次ページに続きます

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