再発酵させた堆肥で育てる赤肉メロン
寺坂農園●北海道中富良野町
北海道中央部、周囲を山々に囲まれる富良野盆地にある寺坂農園。東京ドームの約1.5倍の敷地には33棟のビニールハウスが並び、メロンを筆頭にアスパラガスやトマトなどを育てている。
園主の寺坂祐一さん(49歳)は5代目で、初代は富山から110年前にこの地に入植、メロン栽培を始めたのは寺坂さんが家業を継いだ30年ほど前からだ。
「もともと米を作るために粘土を敷いて水田にしていた土地でした。ここに暗渠排水を導入して水はけをよくし、ビニールハウス内には雨が滲み込まないように黒土を盛っています。夏の朝は15℃ほど、日中は30℃まで気温が上がる盆地の寒暖差が、美味しいメロンを育てます」(寺坂さん)
メロン栽培は終わりのない探求の世界だと話す寺坂さん。鰹などの魚粉を主体に米ぬかや蟹殻などを混ぜて発酵させるぼかし肥料を自作して、アミノ酸の量を増やした。さらに2年前からは堆肥にもみ殻燻炭などを加えて、再発酵させて使用。これにより土壌改善が図られ、根が強く張り、メロンが丈夫に健康に育つ環境を整えた。
赤子のように世話をする
夕張メロンとともに北海道産を代表する富良野メロンだが、富良野メロンという品種はない。この農園ではクインシー719という食味の良い新品種の赤肉メロンを中心に生産している。1月に種を播き、苗を強くするために台木と穂木を接ぎ木し、2月に畑に定植。収穫適期になるまで毎日見守り、まるで赤ちゃんを育てるように、人の手が入ることが何よりも重要だと寺坂さんはいう。
6月中旬~8月まで、メロンの収穫に合わせて敷地の一角には直売所ができる。美味なるメロンを求め全国から寺坂ファンが集まる。
寺坂農園
北海道空地郡中富良野町東5線北4号
電話:0120・366・422
営業時間:直売所は8時30分~17時 取り寄せ期間:~8月下旬
注文方法:電話:0120・199・091、オンラインショップ https://furano-melon.jp/
取材・文/関屋淳子 撮影/宮地 工
※この記事は『サライ』本誌2022年8月号より転載しました。