最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第71回は、「縮緬」をご紹介します。京都の丹波地方や滋賀県の長浜で作られるものが有名です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「縮緬」はなんと読む?
「縮緬」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「しゅくめん」、「ちぢれめん」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「ちりめん」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「表面に細かいしぼのある絹織物」と説明されています。布面全体に「しぼ」と呼ばれる細かい皺があることが特徴的です。撚(よ)りのない経糸(たていと)と撚りを強くかけた緯糸(横糸)を織った後に、精錬(染色のための前処理)をし、糸の撚りを戻すと、糸がもとに戻ろうとする力によって凹凸が生まれます。
最近では絹ではなくポリエステルなどで作られたものも多くあるため、土産物屋などでもお値打ち価格でちりめん雑貨を楽しむことができます。
「縮緬」の漢字の由来とは?
「縮緬」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「縮」は「表面の細かい縮み」を、「緬」は「細糸」を意味しています。同じ「めん」でも、食べ物の「縮れ麺」とは違う漢字です。
「ちりめん」という名前の由来は諸説ありますが、布の表面に細かい「ちぢみ(縮み)」があるので、「ちぢめん」が訛って「ちりめん(縮緬)」になったのではないか、と言われています。
「縮緬」と「ちりめんじゃこ」の関係は?
「ちりめん」と聞くと、「ちりめんじゃこ」を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。「ちりめんじゃこ」は漢字で「縮緬雑魚」と書きます。小さな魚をたくさん煮て広げて干した姿が、縮緬を広げたように見えることから、「ちりめんじゃこ」と呼ぶようになったとされています。
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いかがでしたか? 今回の「縮緬」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「縮緬」は着物や帯地の他にも、帯揚げや巾着、風呂敷などにも使われ、私たちの生活を広く彩ってくれています。見かけた際には手に取って、表面の「しぼ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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