正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第54回目は、「外郎」をご紹介します。名古屋や京都の名物である、あの食べ物です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「外郎」はなんと読む?
「外郎」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「げろう」ではなく……
正解は……
「ういろう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「米の粉に黒砂糖などをまぜて蒸した菓子」と説明されています。「ういろう餅」とも呼ばれ、むっちりとした独特の食感が持ち味。見た目は羊羹と似ていますが、寒天が入っていないという違いがあります。ういろうを固める行程は「蒸す」だけであるため、このような食感になるのです。
■「外郎」の漢字の由来とは?
「外郎」は本来、薬の名です。室町時代、薬を調達する官職(=礼部員外郎)である陳という人物が中国より日本に渡来し、「透頂香」という薬を伝えました。陳はその後、自身の役職が「礼部員外郎」であることから「外郎家(ういろうけ)」と名乗ったため、「透頂香」は通称「外郎」と呼ばれました。
では、なぜ薬の名前が和菓子の名前になったのでしょうか? これには次の二つの説があります。一つ目が、外郎家がその製法を伝えたため、という説。もう一つが、ういろう餅の色が「透頂香」(=「外郎薬」)とよく似ていたため、という説です。後者の方が有力だとされています。
■歌舞伎十八番の演目『外郎売り』とは?
歌舞伎の演目の一つに『外郎売り』というものがあります。ういろうの語源となった「外郎薬」の行商人が、薬の効能や由来を語るという内容です。薬の効果を見せるために、外郎売りが薬を1粒口にすると、舌がよく回り、次から次へと早口言葉が繰り出されます。
連発される早口言葉の難しさから、演劇やアナウンスを学ぶ時の滑舌練習のテキストとして使われているほどです。
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いかがでしたか? 今回の「外郎」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 漢字の由来を紐解くと、その長い歴史が見えてきました。今度「外郎」を口にする際には、是非思い出してみてください。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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