字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか? 思い込みで間違ったまま覚えてしまっている漢字も意外に多いかもしれません。
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしてしまうと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第49回目は、「群雨」をご紹介します。梅雨の季節にぴったりな、趣深い雨の言葉です。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「群雨」はなんと読む?
「群雨」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「むれあめ」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「むらさめ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「ひとしきり激しく降り、やんではまた降る雨。にわか雨」と説明されています。激しく降ったかと思うと、すぐにやんだり弱くなったりする雨です。その様子から、「群がって降る雨」という意味で「むらさめ」と呼ばれています。
■「群雨」の漢字の由来とは?
「群雨」を構成する漢字を見ていきましょう。上でも触れたように、「“群”がって降る“雨”」からこの漢字が使われています。しかし、「むらさめ」は他にも「叢雨」「村雨」といった漢字表記があります。
「叢雨」の「叢」という漢字は、「むらがる・あつまる」といった意味があります。「群雨」と同じく、意味に由来した漢字表記と言えます。その一方で、「村雨」は読み方に由来した当て字です。雨に濡れた村々の状況が浮かびますね。
■「雨」を「さめ」と読むのはなぜ?
今回ご紹介した「群雨」の他にも、「春雨」「秋雨」「小雨」など「雨」を「さめ」と読む言葉は多くあります。では、なぜ「雨」に「さめ」という読みが生まれたのでしょうか? それは「あめ」が母音で始まるからです。
熟語となる際に「むらあめ(mura+ame)」のように母音が連続すると、発音がしにくくなります。それを避けるために、子音sが挿入されたのです。この現象を「音韻添加」と言い、日本語で多用されています。
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いかがでしたか? 今回の「群雨」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? “雨”を表す豊かな日本語の表現に触れて、梅雨ならではの風情を感じてみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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