「あれ? なんて漢字だったけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第48回目は、「時鳥」をご紹介します。初夏に南方から渡ってきて、日本に夏を告げる鳥です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「時鳥」はなんと読む?
「時鳥」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「ときとり」ではありません……
正解は……
「ほととぎす」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「カッコウ科の鳥。日本には初夏に渡来。托卵の習性がある」と説明されています。初夏、その年最初に聴くホトトギスの声は忍音(しのびね)といい、古の人々は待ち望んだそうです。今でも、登山家から愛される綺麗な声をしています。その鳴き声は「テッペンカケタカ」「特許許可局」などと聞こえるとされます。
また、ホトトギスは5~6月頃に渡ってきて、自身の卵をウグイスなどの巣に託す習性があります。その美しい声とのギャップに驚きますね。
■「時鳥」の漢字の由来とは?
では、なぜ「時鳥」と書いて、「ホトトギス」と読むのでしょうか?
それは、ホトトギスが時を告げる鳥だからです。昔から、ホトトギスは毎年初夏になると几帳面に到来し、人々はそれを農耕の合図にしていました。つまり、ホトトギスの声が田植えを始める時期を告げるということで、「時鳥(時を告げる鳥)」と命名されたのです。
■「不如帰」も「子規」もホトトギス!?
「時鳥」以外にも「ホトトギス」の漢字表記は数多く存在します。その数なんと20種類以上。今回はその中のいくつかをご紹介します。
まずは「不如帰」です。この由来は中国の故事にあります。国に帰りたいけれど帰れなかった古代中国の皇帝が、ホトトギスに姿を変えて「不如帰(かえりたい)」と泣いたというストーリーです。徳富蘆花の小説タイトルになっていることでも有名です。
続いて「子規」です。俳人・正岡子規を思い起こさせますが、実は彼の名前はこの「子規(ホトトギス)」の表記に由来しています。結核を患い吐血する自身の姿を、血を吐くまでなき続けたホトトギスに重ね合わせたと言われています。
***
いかがでしたか? 今回の「時鳥」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 時にはゆっくりと鳥の声に耳を傾け、季節の移ろいを感じ取りたいものですね。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/