取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ

今回お話を伺ったのは、兵庫県内で一人暮らしをしている知佳さん(仮名・39歳)。兵庫県出身で、父親と祖母との3人家族。物心ついた頃には母親はいなかったそうですが、父と祖母のおかげで寂しい思いをした記憶はゼロ。ずっと3人で暮らしていけると思っていた矢先に、父の再婚話が浮上して祖母の一人暮らしが決まります。祖母と離れたくなかった知佳さんは、再婚に反対こそしないものの、良くは思っていなかったと言います。

「一人暮らしは祖母から言い出したことなので、再婚を反対する理由にはならなくて。でも、ずっと大事にしてきた3人での暮らしを壊された思いがありました。再婚は中学生になる直前で行われ、思春期だったこともあって、父親のことは少し気持ち悪いと思っていましたね」

新しい母親のいる家に馴染めず、祖母の家に入り浸るように

父親、そして新しい母親との三人暮らしがスタートします。彼女は母親になろうと努力してくれたと言いますが、知佳さんはその距離感に戸惑うことのほうが多かったとか。

「あの人はフルタイムで働いていたので、顔を合わすのは週末と平日の朝と夜だけでしたが、短い時間でも私とコミュニケーションを取ろうとしてくれました。買い物に誘われて、何度か一緒に行ったこともあります。でも、そこまで仲良くなっていないのに、生活態度や学校の成績を注意されることに違和感があったというか……。ダメだとは思っていても、馴れ馴れしさが嫌で仕方なくて避けてしまうんです。こんな気持ちを誰にも言うことができなくてずっと苦しかったです。あんなに再婚を喜んでくれた祖母にも言うことももちろんできない。いつしかこんな気持ちを思い出したくない思いから、家に帰りたくなくて……」

学校から家には帰宅せずに祖母の家で過ごす時間が多くなっていったという知佳さん。そのことがきっかけなのか、新しい母親との距離は徐々に離れていき、祖母と父親の間にも距離が生まれていきます。

「最初は夜まで、そこから徐々に祖母の家に泊まるようになり、祖母も困った顔をしていましたが、帰るようにと強く言ってくることはありませんでした。

私のそんな態度を見たからなのか、あの人も何も言ってこなくなり、徐々に会話がなくなっていきましたね。父親は私の態度を注意してきたんですが、それがあの人の味方をしているように映って、私と父の仲も険悪になりました。

祖母が2人のときに『お父さんは元気?』と質問してくるようになったのがその直後ぐらい。祖母と父も連絡を取り合っていないことがわかりました」

【祖母の世話に協力的ではない父親とあの人。家族になることはできなかった。次ページに続きます】

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