字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか? そんな時に、思い込みで間違ったまま覚えてしまっている漢字も意外に多いことに気付いたりします。
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第43回目は、「健気」をご紹介します。「健」の読み方が独特です。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「健気」はなんと読む?
「健気」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「けんき」ではありません……
正解は……
「けなげ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、1「殊勝なさま。心がけがよく、しっかりしているさま」2「勇ましく気丈なさま」3「健康であるさま」と説明されています。一般的に、子供や女性といった非力な者が一生懸命に努力をしている様子や、困難な状況にも立派に立ち振る舞う様子を表す言葉として使われますね。
■「健気」の漢字の由来とは?
「健気」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「健」は「すこやかであること」を、そして「気」は「ようす」を意味しています。「健」には通常「けな」という音読みはありません。では、なぜ「健気」を「けなげ」と読むのでしょうか? それは「けなげ」という言葉自体の由来が関係しています。
■「健気」の由来 古語「異なり」を知っていますか?
「けなげ」という言葉は、「優れていて他とは違うこと」を意味する古語「異なり(けなり)」に由来すると言われています。時代が経ち、この「けなり」に、「気持ち」を表す「気(け)」を付けた「異なり気(けなりげ)」という言葉ができました。「けなげ」はこの「異なり気」が音変化を経て、生まれたものだと言われています。
「健気」の「健」という漢字は、本来「けなりげ」が持っていた「他よりも勇敢で力強い」「体が丈夫で意志も強い」というような「壮健なイメージ」に由来していると考えられます。ただ、時代を経るにつれて言葉の意味が変化し、現在の「健気」は「かわいそうな状態を乗り越える」という「哀れなイメージ」を持つ言葉になりました。
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いかがでしたか? 今回の「健気」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 古語が由来の言葉は、現代の意味と漢字が結びつきにくい傾向があります。そのため、由来とセットにして覚えると間違いないでしょう。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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